TOP PLAYER INTERVIEW #46

「ドMになって困難な道を選ぶ」オリオンビールCMO 湖東彰彦氏のマーケティング論

前回の記事:
オリオンビール CMOに元スマートニュースの湖東彰彦氏が就任「真の沖縄ローカルビールとして大手4社ができないことにチャレンジする」
  MHD モエ ヘネシー ディアジオやジョンソン・エンド・ジョンソン、Amazonを経て、3年にわたってスマートニュースでマーケティング部門の責任者を務めた湖東彰彦氏が、2023年4月、オリオンビール 執⾏役員 マーケティング本部 本部⻑として就任した。前編では、沖縄に移住してまでオリオンビールに転職した背景やクラフトビールとも定義できるオリオンビールと湖東さんがマーケティングを実践する上での大切にしていることなどを聞いた。後編では、オリオンビールと顧客の特殊なタッチポイントや成し遂げたいこと、これまで勤めてきた企業と沖縄の地場企業との違いなどを詳しく聞いた。
 
オリオンビール 執⾏役員 マーケティング本部 本部⻑
湖東 彰彦 氏

慶應義塾大学環境情報学部卒。MHD Diageo Moet HennessyやJohnson & Johnsonにて日本、米国、シンガポールを拠点に20年間消費財のマーケティングに従事。2017年からはAmazonジャパンにてAmazon FreshとPrime Nowの事業部長を担った後、2020年4月からSmartNewsに日本マーケティング責任者を経て、2023年4月から現職に就任。
 

オリオンビールと顧客の特殊なタッチポイント


――湖東さんは、前職では異なる業界におられましたが、過去にはMHD モエ ヘネシー ディアジオやジョンソン・エンド・ジョンソンなど、酒や小売の業界に携わった経験があります。改めてビール業界でのマーケティングに挑戦するにあたり、期待や不安はありますか。

 私にとって大きな挑戦だとは思いますが、不安は特にありません。沖縄を代表するオリオンビールという会社にとって、チャンスはそこら中にあると考えています。ただ、大手4社(アサヒビール、キリンビール、サントリー、サッポロビール)のビール会社のように何百億円という投資は難しいので、どこを攻めるかという戦略的な「選択と集中」が重要になってくると考えています。

 沖縄県内外にオリオンビールの商品を配荷してくださっている販売代理店様や業務提携しているアサヒビール様、そして小売店様などとの関係もさらに重要になると考えます。そういった点では、我々だけでビジネスを完結できない難しさもありますが、それもまた面白いですよね。

――実際にオリオンビールでのマーケティングに着手してみて、何か感じていることはありますか。

「沖縄」という土地を背負っているブランドであることが、これまでの経験と大きな違いだと考えています。今までさまざまな企業で働いてきましたが、これほど地元の人からの期待を感じ、愛されているブランドだったことはありませんでした。

 実際に沖縄に住んでから数カ月が経ち、いろいろな人と日々話していますが、県内の皆さんからの大きな期待を感じています。また、その皆さんが改めて誇りに思えるようなブランドにしていかなければいけないと考えています。

 もうひとつ面白いと思っていることは、観光客です。私のこれまでのキャリアでは、ターゲット消費者に心を開いてもらうためには、どのタッチポイントでどのようなコミュニケーションを図るべきかを常に考えていました。どうやったら消費者の皆さんにコンタクトできるか、そもそもどこにいるのかを探すようなものであったと思います。

 しかし、オリオンビールでは消費者のほうから沖縄に来てくれるので、タッチポイントが目の前にあるんです。たとえば、国際通りに行けば、オリオンビールのTシャツを着た観光客が多く歩いています。その光景は、すごく面白くて特殊な世界だと思います。普通、企業名やビールブランドの名前が入ったTシャツを着るなんて想像できないじゃないですか。でも、沖縄ではオリオンビールのTシャツをみんなが楽しそうに着ているんですよ。

 つまり、我々の潜在顧客が国内外から沖縄に来てくれるのです。この環境はつくろうと思っても簡単につくれないし、この沖縄という土地やオリオンブランドならではの大きな武器だと思いますね。
 
 
 
 オリオン ザ・ドラフト(画像提供/オリオンビール)

――ある種、沖縄自体がひとつのテーマパークのような体験の場ということでしょうか。

 そうですね。沖縄においてはオリオンビールの新しい価値体験を提供できていますが、今後は、沖縄を体験した人が県外・国外に帰った後もたまにオリオンビールを思い出して、手に取ってもらえるようなきっかけをつくれるといいなと思っています。

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