広報・PR #11

競争が激化する大学、生き残りをかけた「イメージ戦略」の進化と挑戦

前回の記事:
ビッグモーター不正請求問題の社長会見、広報のプロが見ると「どこがダメだったのか」
 

現代の大学が担う役割の再定義


 近年、経済や技術の変革によって、教育機関としての大学の役割が劇的に変化しています。製造業の減少、情報・サービス産業の拡大、そして新技術の活用は、従来のキャリアパスや学習方法に大きな影響を及ぼしました。現在の大学は知識の探求の場としてだけでなく、キャリア形成のサポートや実社会での問題解決能力の育成など、多岐にわたるニーズに応える場へと変化しています。

 特にデジタル技術の発展により、知識への接続方法や学習メソッドが大きく変化し、それぞれの大学が何を優先するのかという選択基準も変わりつつあります。また、産学連携や国際的な交流、地域との協働といった役割も果たしています。それぞれの大学がどのような特色や強みを持ち、それをどのように社会や学生に示しているのでしょうか。今回は、その「イメージ」の変化と方向性を考えたいと思います。

 まず大学の役割を考えるにあたり、そのタイプを分けてみると理解しやすいでしょう。タイプごとに役割の変化があり、目指すべき方向性も違います。

 私は東北芸術工科大学 企画構想学科 学科長/教授として、大学の広報活動を行なっています。今回は、その経験や知見も踏まえて、私が考える現在の大学のイメージ戦略を紹介していきましょう。

【大学タイプごとのイメージの変容】

総合大学:
 多様な学問領域が一堂に会する場としてのイメージを持ち続けていながらも、昨今は学際的な研究や国際交流の拡大により、異なる専門分野を融合させて新たな価値を創造する場としての役割が高まっています。それぞれの専門分野を超えた新しい価値創出の場としてのイメージを強めています。

工業系大学:
 科学技術の進歩とともにイノベーションの先駆者としての役割を担ってきた工業系大学は、工学者や研究者の育成を長らく目的としてきました。さらに、今日では産業界との密接な連携を通じた、新しい技術のより迅速な実用化やスタートアップ企業の創出などが期待されています。

地域密着型大学:
 従来、地域のニーズに応える存在として認識されてきた地域密着型大学は、地域の産業構造や社会環境の変化に応じ、新しい産業創出や地域活性化の中心的な役割を担う場としてのイメージを強めています。

芸術大学:
 クリエイティブに特化した芸術大学は、単に芸術家を育成する場所というイメージから、クリエイティブ産業の中核としての役割を強化しています。新しいメディアや技術との融合による研究が進行中で、社会と連携したアートプロジェクトや産業界との協働も増えています。

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