日本の広告最新事例を世界の潮流から読み解く #42
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火星に最初に行く世代に、バーチャル火星体験を提供
子どもが主役となる海外事例で頭に浮かんだのは、航空機製造や宇宙開発の会社であるロッキード・マーチン社が行った「フィールドトリップ・トゥ・マーズ(Field Trip To Mars)」という事例だ。この事例は、カンヌライオンズ2016で、プロモ&アクティベーション部門ゴールドなどを受賞している。
舞台となったのは、ワシントンDCのスクールバス。小学校低学年と思われる子どもたちは、いつものようにバスに乗る。何か特別なことが起こるとは知らされておらず、いつものように和気藹々と。
ロッキード・マーチン社は、実際に火星に旅する最初の世代になるであろう子どもに“リアルな”火星を体験してもらおうと考えた。とすると、ゴーグルやヘッドセットを使ったのでは、物足りない。また、個別の子どもではなく、皆で、グループで同時に体験して欲しいという想いもあった。
そこで、当時最新のテクノロジーを駆使して、スクールバス内側の窓から見える風景全体に“リアルな”火星の風景を重ね合わせたのだ。
このチャレンジでは、ワシントンDCの街を5km進んだら、バス内の窓から見える火星の風景も5km進む必要がある。バスがワシントンDCの道で左折したら、火星の風景も左折したように見えなければならない。それを実現するのは困難の連続だったが、スタッフは何とかやり遂げた。
事例ビデオには、街中の風景が突然火星の風景に変わった時の、子どもたちの驚きと興奮の様子が映し出されている。子どもならずとも大人でも体験してみたい事例ではある。
子ども好きな人も、そうでない人もいるとは思う。ただ、子どもは、どう見ても“未来”だ。子どもをインスパイアし、より良き時間や体験を与えることは、大きなことを言えば、人類の“未来”により良き体験が与えられる礎になるだろう。
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