TOP PLAYER INTERVIEW #47
「仕事・バイト探しはIndeed♪」を封印した背景は? Indeedが6年ぶりにブランドコミュニケーションを全面刷新【マーケティング本部 シニアディレクター 田尻祥一氏】
Indeed Japanが、求人検索エンジン「Indeed」のブランドコミュニケーションを6年ぶりに全面刷新した。これまで、「仕事・バイト探しはIndeed♪」というフレーズが印象的なテレビCMを中心にIndeedの認知を拡大してきた。今後は、新たに立案したマーケティング戦略のもと、「いい未来は探せる」をキーワードとしたブランドプロモーションを展開していく。
今回は、2022年11 月から同社のマーケティングを率いるマーケティング本部 シニアディレクターの田尻祥一氏に、ブランドコミュニケーションを全面刷新した背景から今後のマーケティング戦略まで詳しく聞いた。
今回は、2022年11 月から同社のマーケティングを率いるマーケティング本部 シニアディレクターの田尻祥一氏に、ブランドコミュニケーションを全面刷新した背景から今後のマーケティング戦略まで詳しく聞いた。
アルバイトに限らず、より多くの求職者に訴求したい
――今回、6年ぶりにブランドコミュニケーションを全面刷新し、2023年6月から新たなテレビCMの放映を開始しました。その背景や狙いを教えてください。
Indeed Japan マーケティング本部 シニアディレクター
田尻 祥一 氏
2004年にアクセンチュア株式会社に入社。国内外の様々な経営戦略・事業改革プロジェクトに従 事。2009年にデル・テクノロジーズ株式会社に入社。アジア太平洋地域における営業企画や日 本法人経営企画室室長を歴任。2013年からマーケティング統括本部にて本部長としてB2B及び B2C向けマーケティングを統括。2022年11月から現職。
田尻 祥一 氏
2004年にアクセンチュア株式会社に入社。国内外の様々な経営戦略・事業改革プロジェクトに従 事。2009年にデル・テクノロジーズ株式会社に入社。アジア太平洋地域における営業企画や日 本法人経営企画室室長を歴任。2013年からマーケティング統括本部にて本部長としてB2B及び B2C向けマーケティングを統括。2022年11月から現職。
これまでのIndeedでは、「バイト探しはIndeed♪」という歌が特徴的なテレビCMを中心に、 大きな認知を獲得してきました。一見、マーケティングは成功しているように思えますが、その中でいろいろなデータを分析すると、まだまだ課題や成長機会があるということが見えてきました。
そもそもIndeedのミッションは「We help people get jobs.」です。あらゆる 求職者のことを理解し、採用プロセスにおいて 求職者を支援し、仕事探しのサポートすることを標榜しています。正社員向けの求人も扱っていますが、アルバイトやパート向けのサービスというイメージが目立っていました。
また、仕事を探すときに使いたいサービスとして「Indeed」を想起するかを調査すると、アルバイトやパートを探している方と正社員職を探している方ではギャップがありました。アルバイトに比べると正社員の想起率は低い 結果でしたが、求人数はアルバイトやパートの仕事だけではなく、正社員の仕事も掲載されている ので、想起に関する結果と実際のビジネスへの成果はそこまで乖離がありませんでした。そのため、単純に正社員の求人も扱っていることの認知がもっと広がれば、さらに成果は上がっていくと考えました。
つまり、アルバイトやパートと正社員の認知のギャップを埋めることで、求職者や採用企業双方のお客さまにとっての機会損失をなくし、我々のミッションの実現が可能になると考えたので新たにコミュニケーションを刷新しました。
――アルバイトやパートと正社員では、なぜギャップが生まれてしまったのでしょうか。
さまざまな理由があると思いますが、成功しているキャンペーンや施策には表と裏があり、その結果が如実に出たからだと思います。定性と定量調査の結果から、Indeedがアルバイトやパートのイメージがより強くなって しまった理由のひとつとして、これまでの広告のトンマナが影響していることがわかりました。自分自身のキャリアに真剣に向き合うシーンでは、あまり自分ごと化させられていませんでした。
一方で、アルバイトやパートの 仕事を探るシーンでは「バイト探しはIndeed♪」というカジュアルで印象に残りやすい歌のおかげで、高い 認知を得ることができました。ただ、少しカジュアルなイメージに寄って しまったと評価しています。
――正社員の訴求を強めていくという話がありました。現代の求職者の変化や、人材に対する企業の考え方の変化については、どのように考えていますか。
やはり大きな変化は、終身雇用の慣習が日本社会全体として 終わりに向かい始めて いることです。これまで 、いい大学に入って大企業に就職して勤め上げることが、幸せな人生の王道パターンのひとつと考えられていたかと思いますが、それが変わってきています。
そこには、年金問題をはじめさまざまな不安が社会的にある状況で、自分たちがどのように生きていけばよいのかを考える機会が増え、転職も当たり前になってきていると考えています。