TOP PLAYER INTERVIEW #52

新卒1年目で公式X(旧Twitter)担当。人気のわかさ生活アカウントは、どうフォロワー数を伸ばしたのか

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 公式SNSアカウントを活用し、自社と商品・サービスの認知拡大や生活者とのコミュニケーションを図る企業は多い。だが、「うまく活用できている」と言える事例は少ないのが現状だ。

 わかさ生活の公式X(旧Twitter)は、2023年7月に10万フォロワーを突破。現在も増え続けている人気アカウントである。今回、2020年に新卒1年目で運用担当者に指名され、アカウントを成長させてきた「中の人」に、企業公式アカウントの運用方針やコミュニケーションのポイント、事業や会社への影響度などを聞いた。
 

他社アカウントとの交流がバズを生んだ


―― 会社の中でX(旧Twitter)運⽤は、どのような位置付けや役割でスタートしたのでしょうか。

 従来型の企業のPR手法は、「新聞やテレビなどのマスメディアに取り上げられるパブリシティー」と、「広告料を支払って露出する広告」の大きく2つに分けられると思います。ただ、デジタル社会の到来で、オウンドメディアや自社SNSなどの選択肢が増え、その中で当社のX(旧Twitter)は広報活動の1つとして運用しています。

 その目的は「社名の認知拡大」と「企業のイメージ醸成」の2つです。目の健康に悩みを抱えた人に、わかさ生活を第1想起していただくこと、そして「わかさ生活っていい会社だよね」と思ってもらえることを目指しています。基本的な運用体制としては、私が1人で運営しています。
  
わかさ生活 広報部 Twitter担当者

―― 新卒入社1年目からX担当になったそうですが、大学時代に公式SNSなどの運営経験があったのでしょうか?

 まったくありませんでした。ただ、入社前から、広く会社のことを伝え、企業文化をつくることができる広報という職種に興味を持っていました。また、X上で消費者と良好な関係を築いている企業アカウントがいくつか存在していることも知っていました。

 わかさ生活は、ブルーベリーのキャラクターのユニークなテレビCMで認知度を高めていましたし、特にXに力を入れると面白いのではないかと思いました。そこで採用面接の段階から、「広報になりたい、広報活動の1つとしてXを運用させてください」と一貫して伝えていました。
 
わかさ生活 広報部のX(旧Twitter)アカウント

―― 実際、「わかさ⽣活 広報部」を担当されてから7⽉27⽇にフォロワー数10万⼈を達成しました。X運用の戦略やコンセプトを教えてください。

 X(旧Twitter)アカウントの運用開始は2016年くらいで、私が担当し始める2020年までは、自社の顧客に向けた情報発信が中心でした。ただ、それであまりうまくいっていないという課題がありました。

 私が担当することになり、最初に運用方針や計画は作成したものの、どちらかというと運用していく中で現在のスタイルになっていったというほうが正確ですね。

 実は私が担当して3週間でフォロワーを100人減らしているのですが、発信量が増えたことで目につくことが増え、それがノイズになった人が外していったのだと思います。ただ、発信を続けて徐々にコンセプトが確立されていくとフォロワー数は伸びていき、担当し始めて3カ月目でWebメディアに取り上げていただいたことをきっかけに、さらに右肩上がりになりました。

 直近、3カ月のフォロワー数の増加要因としては、他企業との交流が大きいです。紳士服メーカーのAOKIさん、食品メーカーのミツカンさんや日本ハムさんなどとの交流の様子をあげた投稿がバズり、一連の交流についてWebメディアからの取材を受けました。これがフォロワーという数字以上に多くの人にアカウントを知ってもらえるきっかけになったと思っています。
 
Xがアイコンを水色の鳥から変えたタイミングで、わかさ生活のアイコンも紫から白に変更。その結果、普段仲良くしているミツカン公式アカウントから認知されなくなったことをネタにして大きな話題になり、Webメディアでも多数取り上げられた。

―― 普段は、主にどのようなコンテンツを投稿することにしているのでしょうか。

 基本的に当アカウントは、Xで商品を無理に売ろうとは思っておらず、肩の力を抜いて運営しています。わかさ生活という名前を知っていただき、なんとなくいい企業だなと思っていただいた先に、目の悩みを抱えた際に想起してもらえるようなイメージです。

 そのため投稿割合は、8割ほどは社内の日常、雑談などで、商品や自社の宣伝は2割ほどに留めています。イメージしているのは「テレビCM」です。雑談メインの発信で興味を持ってもらう中で、企業が伝えたい情報を発信する。テレビCMを見たくない人は、他のチャンネルを見ると思いますし、そんなスタンスで気楽に見ていただければいいなという感覚です。
 
GMOインターネットグループ 代表取締役グループ代表の熊谷正寿氏との様子(左)/産経新聞の取材前の様子(右)

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