2024年マーケティング業界の展望 #02

トップマーケターが語る2024年の展望【西井敏恭、藤原尚也】②

前回の記事:
トップマーケターが語る2024年の展望【音部大輔、風口悦子】①
 コロナによる制限が緩和されたことを感じた2023年。生成AIなどの、テクノロジーの進化がマーケティング活動に大きな影響を与えるなか、2024年における企業のマーケティング活動、マーケターの役割は、どのように変化していくのでしょうか。トップマーケターが「2024年の展望」を語ります。
 

より深い思考ができる人が強くなる世界

 
西井 敏恭 氏
シンクロ 代表取締役社長

 2023年は、生成AIの登場が衝撃的でした。この10年ほどを振り返っても、マーケティング業界ではGoogle広告を含むAIの活用により業務内容が大きく変わってきたと考えられます。全体を俯瞰してみると、たとえばAIが既に力を発揮している将棋界では、棋士の藤井聡太氏のようにAIを活用し、独自に学び、過去にないレベルの実力を持ったスターが登場しています。

 私自身、まだまだ生成AIの活用が進んでいるとは言い難いですが、5年後には確実にマーケターの業務内容は変わり、オペレーションの仕事がますます減少し、より本質的なマーケティングの考え方が求められる時代になるでしょう。将棋のように、従来は実践の場が少なく、経験が強さを決める時代から、事前の準備が実践そのものであり、本番ではそれに基づいて深い思考ができる人が強くなる世界に変わっていくのではないでしょうか。

 社内会議に時間を費やして答えのないような結論の合意を得るのではなく、ChatGPT と徹底的にブレストし、優れたアイデアを出し、実践(お客様)の反応を見てさらに深く考察する人材が重要になるでしょう。非常にワクワクするマーケティングの仕事に向けて進化する1年になることを期待しています。
 

マーケターの進化とAIの進化

 
藤原 尚也 氏
アクティブ合同会社 CEO 

 2023年は、話題になった「ChatGPT」があっという間に広がり、生成AIが浸透し、さまざまな活用方法やツールが展開されてきました。2024年は、それらの生成AIを活用し、自社やサポート企業のマーケティング活動の精度をさらに上げ、収益拡大に繋げることができる重要な1年になると思います。

 そのためにも経営層とマーケターがより連携して、生成AIを使いこなすことが必要になるでしょう。これにより、顧客理解をもっと深化させ「ターゲットを具体化」できます。そして実行していくための組織や体制、人材育成にも活用して進化をもたらすことができます。具体的には、今までアウトソースしていたことを「インハウス化」するチャンスです。他社の動きを見守るのではなく、自ら取り入れてチャレンジしていくことで、先駆者利益を享受することができます。なので、「率先垂範(そっせんすいはん)」思考がマーケターにとって重要な年になると思います。

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