2024年マーケティング業界の展望 #03

トップマーケターが語る2024年の展望【山口有希子 、木村幸広】③

前回の記事:
トップマーケターが語る2024年の展望【鹿毛康司、佐渡島庸平】⑤
 コロナによる制限が緩和されたことを感じた2023年。生成AIなどの、テクノロジーの進化がマーケティング活動に大きな影響を与えるなか、2024年における企業のマーケティング活動、マーケターの役割は、どのように変化していくのでしょうか。トップマーケターが「2024年の展望」を語ります。
 

テクノロジーの進化で問われるマーケターの知識とインテグリティ

 
山口 有希子 氏
パナソニック コネクト 取締役 執行役員 CMO

 AIの活用はあらゆるマーケティングの現場で拡がっており、2024年はさらに進むだろう。当社のマーケティング部門でもコンテンツ制作、プログラミング、レポート作成など、あらゆる場面でAIを活用している。技術の進化は新たな可能性を拓く素晴らしいことだ。

 しかし、同時にAIによるネガティブな側面も現れている。「生成AIで広告収入目的のゴミサイトが急増」という報告が米国の研究機関から発表されたが、デジタル広告詐欺問題もテクノロジーで深刻化している。しかも、日本の発生率は世界的平均の2倍以上というかなり不名誉な状況となっているのを、どれだけのマーケターが理解しているだろうか。

 私たちマーケター自身が、何が起こっているのかを正しく認識することはもちろん、目の前のKPIを追いかけるだけでなく、あるべきマーケティング活動の本質を問いつづけ、実践していくことが重要だ。それは自社のブランドを守るだけでなく、健全な社会の発展につながることでもある。

 いま、これまでに以上にマーケターのインテグリティが問われている。
 

AIと共存する「ハイブリッドなマーケティングフレーム」

 
木村 幸広 氏
木村グローバルマーケティング 代表
アルダ CMO

  2024年は、AIがマーケティングに新しい形で影響力を大きく高める年になると予測します。AIの存在感はChatGPTの台頭と進化で拡大しており、「AIの劇的な進化の時代においてマーケティングの仕事はどう変わるのか?」という議論が続いています。そして、AIがマーケティングによりポジティブに溶け込んでくる年になるのではないかと思います。

 現在、我々が行なっているマーケティング実務の探索、洞察、立案の中でも「数値的な確率を追求する分野」には、AIがかなりの支配権を持って浸透してくると思います。たとえば、マーケティングミックスの最適値を求めるために、多くのモデルがあります。その中でも数値的な確率を追求する分野はAIに任せ、我々は顧客のインサイトや確率的な答えでは顧客が納得できない心理の分野(言葉にできない葛藤や本音など、表に出ている数では少数派だけれども潜在的影響力は大きい)にマーケティングの業務が移っていくような感覚を持ちます。我々はAIの健全な活用を積極的に行い、AIにはまだできない人間としてやるべきことを効果的に組み合わせる「ハイブリッドなマーケティングフレーム」をつくっていく1年になると思います。

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