日本の広告最新事例を世界の潮流から読み解く #46
アース製薬の入浴剤「BARTH」、生活者参加型の寝顔だらけ広告に注目
サッカーゲーム愛好者が参加、バーガーキングの秀逸企画
海外でも生活者参加型の広告コミュニケーション企画は、少なくない。その中でも、バーガーキングによるサッカーゲーム企画「スティーブネイジ・チャレンジ」をご紹介しよう。メッシやクリスチャーノ・ロナウド、ネイマールといったスーパースターに一銭たりとも支払うことなく、軽妙な仕掛けによって、ゲーム上でバーガーキングのロゴ入りユニフォームを着させた、という事例だ。この企画はカンヌライオンズ2021の超話題作(ソーシャル&インフルエンサー部門始め3部門でグランプリを獲得)となった。
バーガーキングが目を付けたのは、FIFA20という世界中でプレーされているサッカーゲーム。このゲーム内でゲームプレーヤーは、自分が応援するチームを、自分の好きなサッカー選手で構成できるようだ。このゲーム内のチームは実在するチームで、かなりの弱小チームも含んでいる。そうしたなかで、超弱小チームをリアルでスポンサードしたらどうなるか。バーガーキングはまず英国4部リーグの最下位チーム「Steavenage(スティーブネイジ)」をリアルでスポンサードする。
その後、バーガーキングは#SteavenageChallengeを導入し、世界中のゲーマーに対し、FIFA20でSteavenageチームでプレーし、ベストな選手を投入してゴールし、そのゴールシーンをSNSに挙げようと呼びかける。ゴールシーンをSNSに投稿するたびにハンバーガーの無料券がもらえる、とういオマケ付きで。
この施策は莫大な人気を博し、アーンドメディア(記事やSNSでの拡散)は250万ドル(約2億5千万円)以上相当に上り、メッシなどのスーパースターがバーガーキングのロゴ入りユニフォームを着てFIFA20上でゴールするシーンは2万5千回以上も視聴されたそうだ。
長い間の数々の興味深い広告コミュニケーションによって、バーガーキングの “お茶目なチャレンジャー”としてのイメージは、すでに出できあがっている。そうした評判があってこそ、今回の施策も人気を集めたと言えるかもしれない。
SNSが台頭して以来、広告コミュニケーションにおいても、もはや人々は単なる“受け手”ではない。彼ら彼女らが一種の“送り手”として参加してくれてこそ、話題も拡がり幅広い共感を得ることが可能となる。
筆者は、生活者が参加するための起点を作るコミュニケーションとして「起点創造コミュニケーション」と呼んでいるが、今後もこうしたやり方の重要性はますます増して行くことだろう。
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