2024年マーケティング業界の展望 #04

トップマーケターが語る2024年の展望【石戸亮、秋田夏実】④

前回の記事:
トップマーケターが語る2024年の展望【山口有希子 、木村幸広】③
 コロナによる制限が緩和されたことを感じた2023年。生成AIなどの、テクノロジーの進化がマーケティング活動に大きな影響を与えるなか、2024年における企業のマーケティング活動、マーケターの役割は、どのように変化していくのでしょうか。トップマーケターが「2024年の展望」を語ります。
 

ヨッタスケール時代に大切なこと

 
石戸 亮 氏
小林製薬 執行役員
CDOユニット ユニット長

 2024年はマーケティングに限らず「情報処理能力」と「透明性」を改めて意識したい年です。「2024」と聞いて、「ヨッタ」を思い出しました。メガ(10の6乗)、ギガ(10の9乗)やテラ(10の12乗)などの補助単位は聞いたことがあると思います。「ヨッタ」は耳慣れない言葉ですが、10の24乗(1兆の1兆倍)という非常に大きな数量を示しており、2022年までSI単位系では最も大きかった補助単位です。ITでは「ヨッタスケール」と言われることもあります。

 情報がこれだけ大爆発した時代、特にマーケティングはインターネットの普及でデータや情報が累乗で増えてきました。普遍的なことはもちろん大事ですが、これまでの働き方や考え方、情報処理能力では通用しなくなる場面が出てくるのも事実です。

 透明性の高い会社では、業績、戦略、社内プロセスに関して不備があれば、それも含めて共有され、様々なフィードバックが会社経営に活かされます。さらにオープンで誠実な職場や文化を生み出すと思います。これはマーケティングにも同じことが言えると思います。これまでは最大の値のSI接頭語だったヨッタですが、2022年にロナ(10の27乗)とクエタ(10の30乗)を国際機関にて更に大きなSI接頭語が決定となり、情報量の増大を感じます。できることも増えたのは違いないので、まずはヨッタスケール時代を楽しみましょう。
 

人事領域でより求められるマーケティング

 
秋田 夏実 氏
みずほフィナンシャルグループ
執行役 グループCPO 兼 グループCCuO

 資源に限りがある日本において、持続可能な競争力を築くための鍵となるのが人的資本です。しかしながら、Gallup社の「State of the Global Workplace 2023 Report」によれば、今や日本は「熱意あふれる社員」の割合が僅か5%と世界最下位レベルとなっており、憂慮すべき状態にあります。

 このような現状を打開するには、マーケティングと人事の連携が必要だと私は思います。マーケターは常に顧客体験(CX)の向上に尽力していますが、より良い顧客体験を提供するには、社員体験(EX)の向上が不可欠です。言い換えれば、社員が満足していない状態では商品やサービスの品質が低下し、結果的に顧客ロイヤルティの低下へと繋がります。すなわち、EXとCXとは一体不可分なのです。

 ともすると「難燃性」になりがちな社員の心に灯をつけ、エンゲージメントを高めていくには、人事が変わらなくてはなりません。従来の管理的人事から転換し、社員のインサイトを理解し、寄り添い、社員が強い期待や関心の持てる施策を打っていくことが求められます。つまり、これからは人事においてもマーケティング的なアプローチがより求められるようになると確信しています。

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