2024年マーケティング業界の展望 #06
トップマーケターが語る2024年の展望【富山浩樹、森井久恵】⑥
2024/01/12
コロナによる制限が緩和されたことを感じた2023年。生成AIなどの、テクノロジーの進化がマーケティング活動に大きな影響を与えるなか、2024年における企業のマーケティング活動、マーケターの役割は、どのように変化していくのでしょうか。トップマーケターが「2024年の展望」を語ります。
2024年もキーポイントはOMO
富山 浩樹 氏
サツドラホールディングス 代表取締役社長
サツドラホールディングス 代表取締役社長
昨年の寄稿で「2023年はOMO(Online Merges with Offline)元年」と書きましたが、2024年も引き続きOMOがキーポイントになると思います。2023年は元年と呼べるまでOMOが普及したかは分かりませんが、より推進された年だったと思います。
本格的なアフターコロナにより、リアルなイベントや旅行、買い物が大復活をした年になりました。それと同時に、人手不足など供給不足がより顕著になってきました。そして、人口減少とコスト上昇も相まってリアル店舗の出店数は大きく鈍化しました。これにより各社でOMOのサービスがより重視されてきたと思います。ユニクロの都内店舗では、オンラインオーダーでの引き取りが店頭販売を超えたと聞きます。
今年はいよいよ、ライドシェアが解禁されてきます。移動からデリバリー、オンライン接客と、サービス・業種業態の垣根を超えてOMOが大前提での戦略が必要となってくるでしょう。
「人」を中心に高める体験価値とブランド価値
森井 久恵 氏
スターバックス コーヒー ジャパン
リテイル・マーケティング統括オフィサー(CRMO)
スターバックス コーヒー ジャパン
リテイル・マーケティング統括オフィサー(CRMO)
マーケティングは、商品やサービスだけでは完結しない時代となり、社会的意義や人とのつながりがより求められるようになっていくと考えています。スターバックスの店舗でも日々、お客様やパートナー(従業員)との間で育まれる、一つひとつのつながりが体験価値の向上や心の豊かさを生み出しています。
どんな時代であっても、社会の情勢や動きを敏感かつ柔軟に捉え、それに対して先回りしてできることを考える「マクロの視点」が求められます。そして同時に、お越しいただくお客様一人ひとりに寄り添い、それぞれのインサイトに丁寧に応えていくような「ミクロの視点」も必要です。また、従業員のエクスペリエンスを向上し、エンゲージメントやブランド愛を高めることが、お客様の体験価値、ブランド価値向上につながっていきます。そのため、マーケティングは組織戦略、いわば経営そのものだと捉えています。従業員の成長機会の創出や働きやすい環境づくりを核に考えていくことが、より一層求められていくと思います。