2024年マーケティング業界の展望 #07

トップマーケターが語る2024年の展望【甲斐 博一、佐々木 丈也】⑦

前回の記事:
トップマーケターが語る2024年の展望【富山浩樹、森井久恵】⑥
 コロナによる制限が緩和されたことを感じた2023年。生成AIなどの、テクノロジーの進化がマーケティング活動に大きな影響を与えるなか、2024年における企業のマーケティング活動、マーケターの役割は、どのように変化していくのでしょうか。トップマーケターが「2024年の展望」を語ります。
 

顧客変化を機敏に捉えるマーケティングが真のカスタマーサクセスを成功させる

 
甲斐 博一 氏
ユニファイド・サービス 執行役員 CMO

 1年前これを書いてから1年が経ちました。この1年で大きく世の中は変化しました。街には人が溢れ、数年間あまり目にしなかった外国人が日本中に訪れ日本の文化を発信するようになり、オンラインとオフラインが両立するハイブリッドな世界が日常になり、そしてAIが誰にでも触れられるようになりました。2023年の変化はあとで振り返ると連続的な小さな変化ではなく、非連続的な大きなものになったように感じます。

 さて、2024年はどうなるか?マーケティング業界に何がどう影響を与えるのか?私は大きく3つのことを挙げたいと思います。まずは、疑いようのない「AIの本格的普及」。予想できるスピードの何倍もの速さで普及していくことでしょう。とりわけマーケティングのプロセスは大きく短縮化され、クリエイティブの世界の中心にも入り込んでくることは間違いありません。また、2つめは、2023年に訪れた変化によりどの企業も顧客行動が変容し、それをとらえなおすことが必須になるものと思います。カスタマーサクセスは真の意味での顧客理解があって価値あるものに変化していくものですから、「顧客変化を機敏にとらえるマーケティングこそが広義でのカスタマーサクセスを成功へと導く」ことになると思います。そして今、何よりもそれが必要。

 そして最後のテーマは「統合」です。AIが普及し、顧客理解を深めたリレーションシップマーケティングを成功に導くには、テクノロジーの統合が必須です。サイロ化されたデータやシステムの問題は指摘されて久しいですが、企業の大小を問わずこれを上手に統合しなければなりません。変化のスピードを考慮しながら、作り直すのか、上手につなげることを目指すのか、並行していくのか、IT部門主導ではなく、マーケティング部門が顧客視点で統合をリードすることが肝要です。有限なリソースを頭に入れながら、その会社の最適なやり方で局面を打開できたところが、ビジネス目標を達成することになると思います。

ヒューマナライズされたマーケティングの追求

 
佐々木 丈也 氏
三井住友カード 専務執行役員

 マーケティングは従来から顧客中心と言われていますが、いざ顧客体験を具現化しようとすると、マーケターのスキルやルールベースの制限に依存せざるを得ず、単一的な取り組みに留まってきた企業も多いと思います。

 私の中では「マーケティング=パーソナライゼーション」と言っても過言ではないほど、顧客の多様性を前提に顧客一人ひとりへ体験を提供することは最重要だと考えています。2024年はテクノロジーの進化に後押しされ、この領域において著しい発展を遂げると予測しています。

 その中心にあるのが、やはり「AI」です。生成AIを代表としてAIが市民権を得てきており、それはマーケティングの世界も同様です。マーケティングはAIにより、これまでは限られたリソースで実現しなかった顧客体験を提供できるチャンスを得ています。その範囲もデータ領域だけでなく、クリエイティブやオペレーションなどすべてのマーケティング領域において活用可能なため、あらゆる角度から顧客へ価値転換できると期待しています。ただし、最も重要なのが顧客に向き合う気持ちです。AIに決して依存せず、AIと共存し、人間らしいヒューマナライズされたマーケティングであり続けたいと思います。

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