新時代のエンタメ舞台裏~ヒットにつなげる旗手たち~ #01
YOASOBIヒットの舞台裏、ソニーミュージックの仕掛け人が明かす発売プロモーションの秘訣
YOASOBIの強みは、圧倒的なスピード感
徳力 YOASOBIプロジェクトがここまで成功した理由を1つだけ教えてくださいと言われたら、何がその要因だったと答えますか。
山本 プロジェクトのメンバーが4人と少なかったことは、大きな要因だったと思います。従来であれば、アーティストがいて、マネジメント会社があり、レコード会社があり、その中にまたいろいろなセクションの人がいて物事が決まっていきます。
YOASOBIのコンポーザーのAyase(左)、ボーカルのikura(右)
一方で、YOASOBIは基本的に屋代と私の2人で始めたプロジェクトです。アーティストの意見はもちろん加味されますが、我々が比較的ハンドリングしやすい範囲にあります。「やると決めたことは、5分後には取り組んでいる」というスピード感なので機会損失がありません。それが1年経つ頃には、大きな差になっていたのではないかと思います。
徳力 PDCAを回すスピード感ですね。
屋代 はい。当時を振り返ると、特に1曲目の「夜に駆ける」のときは圧倒的に頑張っていたと思います。ほとんど精神論ですが、4人で無邪気に手探りの中で活発に意見交換していたことがヒットにつながったと思います。
徳力 屋代さんは音楽業界からも遠かったので、まさに手探りだったんですよね。
屋代 そうですね。一つひとつのことに対して、「そういう考え方なんだ」と学びながら取り組んでいました。私は違う文脈でモノを見てきたので、その視点で意見を言ったりしていましたね。また、先ほども述べましたが、4人で意見を交わした時間は本当に長かったです。それがいまも曲の強度につながっていると思います。
徳力 YOASOBIは新しいチャレンジだったのですね。試してダメでも、また試せばいいというスタンスで、いろいろ取り組んだ結果、時代のトレンドに乗ったという現象だったということがわかりました。
※中編「YOASOBI「アイドル」が小学生からグローバルまで大ヒットできた理由、UGCを生み出す仕組みと初動が跳ねた裏側」に続く
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