トップマーケター直伝 マーケティング用語解説 #04

DtoCとは何か?「売る」から「顧客と価値共創」の時代へ 【トップマーケター直伝 マーケティング用語解説:西井敏恭氏】

前回の記事:
LTV(顧客生涯価値)とは? ロイヤルティを向上させる施策【トップマーケター直伝 マーケティング用語解説:ユナイテッドアローズ 藤原義昭氏】
 マーケティングを取り巻く状況は、近年急激に変化している。本連載ではマーケティングを巡る重要用語について、トップマーケターの独自の視点を交えながら、基礎からポイント解説していく。

第4回のキーワードは、近年バズワード化した「DtoC(Direct to Consumer・D2C)」。メーカーが他業者を介さず、顧客と直接やりとりするビジネスモデルは以前からあったが、なぜ近年注目を増しているのか?数々の企業支援に取り組んできたシンクロ・西井敏恭氏が、マーケターが知っておくべきDtoCの本質を解説する。
 

出典:123RF
 
【目次】
1. DtoCの基本とメリット・デメリット
2. 先進地・米国のDtoC
3. 日本のDtoCと課題
4. 西井敏恭氏に聞くDtoCの「本質」
 

1. DtoCの基本とメリット・デメリット


 Direct to Consumerの略。企業が企画・製造した商品を、卸業者や小売店を介すことなく、ECサイトなどを通じて顧客へ直接販売するビジネスモデルのこと。仲介業者へのコストを省くことで、より高価値の商品・サービスを提供できる利点がある。メーカー直販という点では、従来からあった健康食品や美容品の通販や、ユニクロなどのSPA(Speciality store retailer of Private label Apparel:製造小売)と似ているが、インターネットで顧客とダイレクトにつながることのメリットを最大限駆使していることが特徴。商品だけでなく、企業やブランドの世界観を伝えやすくなり、顧客とのエンゲージメント向上によるLTV(顧客生涯価値)向上や、顧客の声を取り入れた商品・サービスの改善などにつながると期待される。

 2010年ごろから米国を中心に注目されるようになった。背景にはAWS(アマゾンウェブサービス)のようなクラウドサービスやShopifyのようなプラットフォームが登場し、企業が自社ECサイトを開設・運営しやすくなったことや、消費者がスマホやタブレットを持ち歩き、店舗に行かずにECサイトから購入する習慣が定着したことなどが挙げられる。

【メリット】
  • 業者を介さないことで中間マージンを省き、収益性を向上できる。
  • 店舗がない地域の顧客にもインターネットを通じて訴求できる。
  • オウンドメディアやSNSを使ってブランドコントロールがしやすい。
  • 顧客と直接つながることでその動向やインサイトを探りやすく、データ収集しやすい。データを使った効率的なデジタルマーケティングや商品・サービスの改善、カスタマイズといった施策を打ちやすい。
  • 結果的に顧客のロイヤルティを高めリピートやLTV(顧客生涯価値)向上につながる。

【デメリット】
  • 小売店やモールに頼らず自力で集客しなければならず、ブランドの知名度向上や安定した収益を得るまでに時間とコストがかかる。
  • 自社で企画・製造から在庫管理・流通・販売・アフターサービスなどの一気通貫した仕組みを整えるためのリソースやコストが必要。
  • ECでの販売をメインとするため、トライアルや返品保証制度など、実際の商品に対する顧客のクレームなどに対応する仕組みを整える必要がある。
 
ワンポイント
 DtoCという用語は10年ほど前から米国を中心に広がり、日本で聞かれ始めたのは5年ほど前です。中間コストを抑えて顧客に良い商品を提供するというビジネスモデル自体は、私がかつて通販を担当した化粧品会社などでもずっとやっていたことですが、では昨今のDtoCやサブスクリプションは、従来のメーカー直販やリピート通販と何が違うのでしょうか。ここを本質的に理解することは、これからのダイレクトマーケティング(企業と顧客が直接コミュニケーションを取るマーケティング手法)を考える上で非常に重要になってきます。(西井氏)

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