CATCH THE RISING STAR #08

パナソニック コネクトの「なぜなぜ」マーケター 俳優志望から転換、広告・PRの道へ【高田 誠哉氏】

前回の記事:
資生堂「エリクシール」の若手マーケター 生活者視点とデータ活用に奮闘【今井静香氏】
 企業におけるマーケティングの重要性が増す一方、「マーケターの仕事は生成AIに奪われるのではないか」とも囁かれる昨今。そんな時代の変革期に、マーケティング領域で働く若者は何を考え、どう行動しているのか。

「Z世代」と一括りにされがちな彼らの中でも、各企業が特に期待を寄せる「ライジングスター」にフォーカスしたAgenda noteの本連載。テクノロジーやSNSを使いこなす彼らの多彩な思考や行動を探ることで、マーケティング領域の近未来を照射していきたい。

 第8回は、BtoB向けの製品・ソリューションを手がけるパナソニック コネクトから入社3年目の高田誠哉氏が登場。国民的ボーイズコンテストへの出場経験があり、俳優を志望していたという同氏は、俳優とマーケターに共通する「伝える」という仕事に価値を見出す。施策の目的を徹底的に突き詰める「なぜなぜ人間」が、詩や本を読みながら探究するマーケティング・コミュニケーションとは。
 

知らなかった感情や意味を知る「すごい喜び」


――入社までの経緯を教えてください。

 もともと、他人の感情や隠れた心理に興味がありました。たとえば自販機でお茶を買うにしても、その理由はなかなか言語化できないとしても、何かしら理由があって選択していますよね。その「なぜ」に興味があり、大学のゼミでサービスデザインを学んだ頃から、この関心とマーケティングにすごく重なる部分を感じました。

 ゼミでは企業と連携したプロジェクトも多く、実際の消費者インタビューや、新規事業の立案を体験しました。たとえば毎朝、出社前にジムに通う人にインタビューして、「なぜ通うのか」を深掘りします。すると、「朝から他の人より多くのタスクをこなしている優越感に浸りながら出社できるのが気持ちいい」というような話を聞けました。自分にはない、そういう感情や世界観、ジムというサービスの意味づけを知ることができたのが、すごい喜びだったのです。顧客分析やリサーチを通して、そういう経験を仕事にできるなら、これほど嬉しいことはないと思いました。
 
高田 誠哉 氏
パナソニック コネクト
モバイルソリューションズ事業部 マーケティング部
国内マーケティング課 国内インテグレーテッドマーケティング係

 マーケティングのインターンシップに参加したことも、大きな転機になりました。2カ月間、企業でマーケティングの実務を経験するプログラムで、その配属先がパナソニック コネクトだったのです。日本を代表する企業ということで、最初は正直「古風で堅いのでは」というイメージを抱いていたのですが、実際に働いてみると全く違っていて、むしろチャンレンジングな社風でした。インターン中に「ワークショップを開いてみたい」と提案すると「どんどんやりなよ」と背中を押してくれるなど、自己成長できる環境だと思ったのが、入社を志望した動機になりました。

―― 入社後はどのような業務を担当されていますか。

 2年目の2023年9月末まではマーケティング部のPR担当として、BtoB向け新製品の記者発表会の企画・運営を担いました。モバイルパソコンの「レッツノート」や頑丈パソコンの「タフブック」を担当し、記者発表会では会場手配や記者への案内、発表用プレゼン資料やプレスリリースの作成などもしていました。記者の中にはガジェットやPCに非常に詳しい方もいらっしゃるので、想定質問をつくって共有したりしていました。
  
担当した「レッツノートQR」の記者発表会

 その後は、同じ部署の国内マーケティング課で、主にWeb広告やマーケティングオートメーション、いわゆるMAを担当しています。お客さまに対する理解を深めると同時に、デジタルでの行動を分析し、お客さまが必要なタイミングで必要なコンテンツを提供しています。購買意欲を高めた状態で、営業にバトンを渡す仕事です。

 レッツノートは13インチ未満の市場ではおかげさまで、シェアNO.1(※)を獲得できていますが、それ以上のサイズの市場では、まだ顧客開拓の余地が大きいと思っています。比較的、高価格の商品になりますが、高品質・低故障率などトータルでの価値を訴求するコミュニケーションに取り組んでいます。

 ※法人向けウルトラポータブルPCで、国内シェア No.1を獲得。(出所: IDC Japan, Japan Personal Computing Quarterly Model Analysis 2024Q1 Share By Company 2023年法人市場において)

 レッツノートに関しては、1年目の時に社員100人を対象にヒアリングを実施したのも印象に残っています。レッツノートの良さを、年次も部署も違うさまざまな社員に聞くというキャラバン活動を、リーダーとして任されました。ヒアリングを進めると、たとえば「IT担当者の痒いところに手が届く」とか「使っていて不満がない」といった声が出てきて、どんどん自分もレッツノートの良さを実感し、好きになっていきました。愛着のある商品を売ることができるのは大きな喜びで、その良さをお客さまに知っていただいて、売上を伸ばしていきたいです。
  
レッツノートの魅力を社員100人に聞いた

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