CATCH THE RISING STAR #10

家事代行 ベアーズの若きCRMマネジャー 兼 楽団長のデュアルキャリア「自分らしく生きる」を体現する【上野拓人氏】

前回の記事:
「好きなことにとことん全力」中野製薬で美容×マーケティングを追求【青木美都氏】
 企業におけるマーケティングの重要性が増す一方、「マーケターの仕事はAIに奪われるのでは」とも囁かれる昨今。そんな変革期に、マーケティング領域で働く若者は何を考え、どう行動しているのか。

 Agenda noteでは「Z世代」と一括りにされがちな彼らの中でも、各企業が特に期待を寄せる「ライジングスター」にフォーカス。生まれた時からインターネットに触れ、テクノロジーやSNSを使いこなす彼らの多彩な思考や行動を探ることで、マーケティング領域の近未来を照射していきたい。

 第10回に登場するのは、家事代行サービスで知られるベアーズの入社3年目、上野拓人氏。定期利用顧客からの問い合わせ対応などを一手に担うCRMチームのマネジャーを最年少で務めながら、マーケティング課も兼務する一方、同社の吹奏楽実業団の楽団長としても活躍する。ベアーズが推進する「デュアルキャリア」を体現する上野氏の実像に迫った。
 

顧客の「兆し」を捉える


―― 入社以来、どんな業務を担当されているのですか。

 最初にコールセンターに配属され、半年間、実際にお客さまからのお問い合わせやご相談を受けていました。その後、定期契約中のお客さまに対応するいわゆるカスタマーサポート業務を担当し、組織体制の変更も経て、現在は本社支部CRMチームのマネジャーとして、ベアーズの約束である「お客様感動度120%」の実現に向けたバックオフィス業務や、お客さま対応を行うチーム運営をしています。

 組織体制変更の背景には、大きな方針転換がありました。これまでは生産性や専門性向上の目的で、コールセンター、お客さまコーディネーター、スタッフマッチング、CRMなど、役割に応じた機能軸、横軸の組織となっていましたが、機能で分断されてしまい、真に顧客視点で一人ひとりのお客さまに対峙しにくいデメリットもありました。組織体制を今期からエリア別、縦軸の組織に変えたことで、社内のさまざまな機能を持つメンバーが連携し、よりお客様目線でのサポートを強化できるようになりました。
 
上野拓人氏
ベアーズ 第一営業本部 本社支部 CRMチーム マネジャー
セールス&プロモーション事業部マーケティング課、BWO楽団長を兼務。

 CRMチームとしては、お客さまからのお問い合わせや、ご指摘に対する迅速な対応、解約いわゆるチャーンレートの低減は重要KPIではありますが、それらはあくまで指標です。お客さまの満足度、もっといえば感動度の向上こそが最重要ミッションになりますので、お客さまからのご連絡を起点にアクションを起こすのでは、後手に回ってしまいます。

 お客さまに先んじてご連絡し、お困りごとがないか伺うなど、できる限りご不満の声を先にキャッチして、満足度向上に繋げるようにしています。

―― 具体的にはどんな能動的な取り組みをしているのですか。

 「兆し管理」という取り組みを行っています。たとえば、ご解約のお申し出があるとき、転居などのお客さま側の事情によらない限り、なんらかのお叱りの声をあわせていただくケースが少なからずあります。そしてお叱りの声が上がるのは、たとえばスタッフが変わったタイミングなど一定のパターンがあることも分かってきました。そういったデータが蓄積され、分析できるようになったからこそ、データに基づいて「兆し」を捉えるということも可能となりました。

 その「兆し」が感じられたお客さまを認識し、リストアップして重点的にフォローし、先駆けて改善提案をしたり、何かあった際には即応できたりするように体制を整えておきます。「ちょうど相談しようかと思っていました」「ご提案いただいて助かりました」「迅速な対応でよかったです」といったお声をいただけた時は、やはり一番やりがいを感じますね。

 全てのスタッフが独自の研修を合格しているため、一定の品質は担保しているのですが、ベアーズのサービスは人が提供するものなので、どうしても品質のばらつきが出ます。そのため、スタッフが変わったタイミングで生じた差異が、ご不満につながることが結構あるのです。

 組織変更で打ち手も打ちやすくなり、現在はスタッフが変わったタイミングでトレーナーが同行してサービスの品質を確認したり、サービス提供後のお客さまにフォローの連絡をして満足度を伺ったり、課題がある場合はスタッフを呼んで教育をしたり、本当に必要であればスタッフ交代も検討したりして、今まで以上に顧客満足度を高められるように対応しています。顧客満足度調査についても、以前からあったのですが、それもアプリなどを通してより解像度を高めていく方法を模索しているところです。

―― CRMに加えて、現在はセールス&プロモーション事業部のマーケティング課も兼務されているのですね。

 はい。ベアーズには「兼任チャレンジ」という、立候補して他部署業務に挑戦できる制度があり、それを利用して週1日マーケティング課で勤務しています。

 具体的には、公式サイトのキャンペーンページ作成、A/Bテストによる効果分析、SNSのアカウント運用、ブログ記事の作成や効果測定などのコンテンツマーケティングも行っています。

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