マーケターズ・ロード 出口昌克 #01

P&G、日本コカ・コーラを経てソーダストリーム参画の出口昌克氏が驚嘆した10年で売上10倍以上の市場開拓戦略

 

オールウェイズ・オン


―― 現在、47の国・地域で展開しているソーダストリームにおいて、日本市場の売上はどれくらいの存在感なのですか。

 詳細は公表していませんが、トップ5に入る重要なポジションです。海外の本社経営陣は、日本の売上がこれほど拡大するとは予想していなかったようです。先ほどのコミュニケーション戦略の裁量権を勝ち取れたのも、継続した成長があったからですし、日本オフィスの発言権はグローバルの中で格段に強くなっています。

 マーケティングプランについても、世界の国・地域をグループに分けて効率化を進める中で、日本だけは独自戦略を採用できています。日本の取り組みをグローバルで共有することもあるのですが、私たちのテレビCMは非常に斬新で理にかなっていると、彼らが逆に学んでいるぐらいです。

 コンテンツや顧客理解についてはマーケティング部門が中心となって取り組んでいるので、私は認知度を上げていくための投資確保に注力しています。

 P&G時代の先輩でもある音部さんの実行された「北海道モデル」などを真似して、どんなCMをどれぐらい打ったら認知が上がって購買に結びつくのか、どんな店頭施策が効果的かというテストをして、その結果を反映して投資を拡大しています。

 (編集部注※音部氏は現在クー・マーケティング・カンパニー/代表の音部大輔氏。「北海道モデル」は、日本国内にP&G「ファブリーズ」を普及させるために北海道で行ったテストマーケティング。その手法が評価され、ファブリーズのグローバル展開でも応用された)

 お客さまの目に入っていないと想起されない商品カテゴリーなので、とにかく広告やメッセージがターゲット消費者に常に届いている「オールウェイズ・オン」にして、認知を上げていくことが重要です。その投資をグローバルから継続的に獲得するために発言権は常に確保し、信頼されるに足るビジョン、戦略を描かねばなりません。これらが私の主要な役割ですね。




※第2回(出口氏が「最低ランク」と酷評されたという社内アンケート評価、そこからどんな社内改革と成果を生み出したのか)に続く。
他の連載記事:
マーケターズ・ロード 出口昌克 の記事一覧

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録