CATCH THE RISING STAR #13

筋金入りのVR・メタバース好き3年目マーケターがKDDIで思い描く未来【出戸紫音氏】

前回の記事:
クレディセゾンの若きデータマンが「与信」を通して目指すマーケティング【渡邉大起氏】
 企業におけるマーケティングの重要性が増す一方、「マーケターの仕事はAIに奪われるのでは」とも囁かれる昨今。そんな変革期に、マーケティング領域で働く若者は何を考え、どう行動しているのか。

 Agenda noteでは「Z世代」と一括りにされがちな彼らの中でも、各企業が特に期待を寄せる「ライジングスター」にフォーカス。生まれた時からインターネットに触れ、テクノロジーやSNSを使いこなす彼らの多彩な思考や行動を探ることで、マーケティング領域の近未来を照射していきたい。

 第13回でインタビューしたのは、KDDIの入社3年目の出戸紫音氏。インターン時代から同社のテクノロジー活用事業に携わり、今年からは気持ちを新たにブランドコミュニケーション本部に勤務する。筋金入りのメタバース・VR好きである出戸氏が、KDDIの事業を通して目指す未来の姿とは。
 

「寝ても覚めてもVR」


―― 入社してからの業務内容を教えてください。

 現在のコミュニケーションデザイン部には2024年4月に異動し、それまでは入社以来2年間、事業創造本部 Web3推進部という部署で働いていました。

 事業創造本部は名前のとおり、新規事業を推進していく部門で、中でもWeb3推進部は次世代のインターネット時代に合わせたサービスづくりをしています。具体的にはメタバース、XR(クロスリアリティ:VR(仮想現実)やAR(拡張現実)やMR(複合現実)など先端テクノロジーの総称)などを中心に、企画営業やコンサルティングのようなことを行うのが仕事でした。

 KDDIは以前からメタバースやXRの事業に取り組んでおり、たとえば有名なところでは東京・渋谷のハロウィーンイベントをバーチャルで体感する「バーチャル渋谷」があります。2023年3月にはαU(アルファユー)というメタバース・Web3サービスを新しく立ち上げ、メタバースを中心にNFTマーケット、それを管理するウォレット、お客様が集うショッピングプレイスなどを展開しており、私もこれらのプロジェクトに関わっていました。
 
出戸 紫音 氏
KDDI ブランド・コミュニケーション本部 コミュニケーションデザイン部 メディア企画グループ

―― 新卒でいきなり、メタバースやXRという先端テクノロジーを活用する部署に配属されたのは、それらの専門性があったからですか。

 専門性と言えるかは分かりませんが、子どもの頃からメタバースやVRをずっと追いかけてきました。初めて興味を持ったのは小学校高学年のころで、ニンテンドー3DSという裸眼立体視ができるゲーム機が発売されて、世間では3Dブームみたいなものが起きていたんです。また、同じ時期にメタバースやVRを題材にした小説原作のSFアニメを観て、これらはものすごい可能性を秘めているじゃないかと衝撃を受けました。

 それからは、寝ても覚めてもVRについて考えるようになりました。ちょうど、現在のMeta QuestなどにつながるようなVR機器のプロトタイプが開発され、お披露目されてきていた時期でもあったので、私も情報を見つけては体験イベントに足を運びました。そういった社会的な潮流もあって、VRが好きな大学生になり、創設まもないVRサークルに入ってVRゲームで遊んだり、スタートアップ企業から話を聞いて勉強したりしていました。

 そうした中で、KDDIがメタバースやXRに取り組んでいることを知り、その領域に特化したインターンシップも行っていたので、エントリーしました。

―― インターンシップでは、どのようなことを経験されたんですか。

 事業創造本部の入社1年目で担当した業務内容と近い、通信を使ったテクノロジー×エンターテインメント新規事業の企画営業・サービス運営を担当しました。

 当時は新型コロナの影響もまだ大きく、テーマパークなどの売上も落ちている時期でした。そのため、テーマパークがあまり大きな投資をせずとも導入可能な、通信やテクノロジーを使ったイベントやアトラクションで集客を図る支援をKDDIとして行っていました。その中でも、私は学生時代に培ったカメラマンとしての経験を活かし、「マチカメ」という無人記念撮影サービスに最も深く関わりました。

「マチカメ」は、観光地や展望台などに設置された高画質なカメラで、専用のQRコードをお客さまが読み取ると、ご自身のスマホから遠隔でカメラを操作することができるカメラシェアリングサービスです。接触を避けつつ、自分では撮影のできないドローンのようなアングルから、カメラマン不在で(撮影者が欠けることなく全員が写る集合写真として)プロ級の写真を誰でも撮影できるのです。私は実際に日本中を巡って、暑い日も寒い日もカメラを取り付ける場所を探したり、実際に設置しに行ったりしました。テクノロジーの活用ではありますが、その裏方は結構アナログですよね(笑)。ただ、写真ってやはり、人それぞれのセンスに関わるので唯一の正解が存在せず、より多くのお客さまが撮影したいと思うロケーションや構図、利用しやすい動線の最適解を求めて、売上データをもとにした研究に時間を費やし考えました。

 当時、弊社のインターンの中でも最も長期となる半年間、企画から運営まで実務を経験させてもらい、非常に楽しくやりがいがありました。そのため、本選考でもインターンと同様に、初期配属先を確約する「WILLコース」でエントリーし、そのままXRやメタバースを扱うWeb3推進部に配属となりました。

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