CATCH THE RISING STAR #14

「ブラックサンダー」商品企画を担当、夢は新ブランド創設【有楽製菓:森田菜穂氏】

前回の記事:
筋金入りのVR・メタバース好き3年目マーケターがKDDIで思い描く未来【出戸紫音氏】
  企業におけるマーケティングの重要性が増す一方、「マーケターの仕事は生成AIに奪われるのではないか」とも囁かれる昨今。変革期にマーケティング領域で働く若者は何を考え、どう行動しているのか。

 Agenda noteの本連載では「Z世代」と一括りにされがちな彼らの中でも、各企業が特に期待を寄せる「ライジングスター」にフォーカス。生まれた時からインターネットに触れ、テクノロジーやSNSを使いこなす彼らの多彩な思考や行動を探ることで、マーケティング領域の近未来を照射していきたい。

 第14回は有楽製菓から、入社2年目の森田菜穂氏が登場。お菓子への愛を胸に学生時代もマーケティングを専攻していた森田氏は、同社の看板商品「ブラックサンダー」を中心にマーケティング部のホープとして奮闘中。お菓子を通して夢見る理想のマーケター像とは。
 

始まりは父との思い出


―― なぜ有楽製菓への入社を決めたのでしょうか。

 やっぱり、お菓子が大好きという想いがありました。印象に残っているのが、小さい頃、夕食後にちょっと母から隠れて、父と一緒におやつを食べた時間です。

 お菓子の美味しさはもちろんのこと、お菓子が与えてくれる時間や空間の面白さ、ワクワク感といったものが好きだったので、その楽しさを、もっと多くの人に知ってもらいたいという思いでお菓子メーカーを志望しました。その中でも、「日本一ワクワクする菓子屋」を目指し、他の多くのお菓子メーカーと比べても一層、ワクワクや面白さを追求しているということが伝わってくる、有楽製菓に入社を決めました。
 
森田 菜穂 氏
有楽製菓 マーケティング部 企画課

「人をワクワクさせるお菓子をつくりたい!」という想いがあったのですが、私の場合は製菓よりも、コンセプトや、誰に向けてつくられた商品なのかという部分に幼いころから興味がありました。お菓子のアイディアを考えるのは、どんな人なのかを調べる中で、マーケティングの存在を知ったのです。夢に少しでも近づけるように大学ではマーケティングを学び、現在は希望の部署であるマーケティング部に1年目から配属され、業務を行っています。

―― 現在まで、どういったお仕事をされてきましたか。

 商品担当として、主にブラックサンダーやチョコケーキなどの新商品や既存商品のリニューアルを担当しています。ブラックサンダーについては先輩から「ミニバー」というファミリーパックカテゴリーのリニューアルプロジェクトを引き継ぎ、今年3月に「いちごのサンダーミニバー」という商品をリニューアル発売しました。

 大きく変えたのは、パッケージデザインです。店頭でより多くの人に気づいてもらい、おいしそうと思っていただけるよう商品の魅力をパッと見で最大化させることを意識して、「いちご感」を全体的にアップさせる方向性でブラッシュアップしました。その手段のひとつとして、ベースカラーをピンクに変更しました。



 売れ行きはまだ正確に評価できていない部分もありますが、営業担当者からは、ピンクパッケージにしてから商談での評価が高いという声を聞き、やっぱりピンクにしてよかったと思いました。

 商品企画の進め方としては、1年目や2年目の若手に対しても「森田さんがどうしたいのか」と、担当者の想いを聞いてくれる会社なので、自分の意見をしっかり持ちつつ、知識が足りないところは上司や先輩に何度も相談を重ねていくという感じです。

―― 有楽製菓は看板商品であるブラックサンダーの遊び心あふれる展開で有名です。森田さんをはじめ、商品企画の方々はどんなことを意識してユニークな商品づくりに取り組んでいるのですか。

 私がお菓子メーカーを目指した理由にもつながりますが、やはり「ワクワク感」が有楽製菓の特徴でもあります。たとえば、今年の5月に新発売された「黒糖のサンダー」は、パッケージをよく見ると「コク」が10個書かれていて「コク10(黒糖)」みたいな…。気づけたら笑ってしまうような、小さな面白さをいかに企画やパッケージに入れ込むかを追求するのも、有楽らしさなのかなと思っています。私もその辺りの「有楽イズム」を過去商品や、先輩との会話から学ぶようにしています。

 お菓子の美味しさを追求するのは開発・製造の人ですが、どのポイントでお客さんに楽しんでもらうか、クスっと笑ってもらえるポイントをつくるかといったことは、企画の仕事だと意識しています。

 有楽製菓は遊び心のあるお菓子を展開していますが、働いている人々はとても真面目な会社です(笑)。来社されたお客さまには、フロアの全員で挨拶させていただくなどの文化もあるのですが、これも、来てくださる方に気持ちよく過ごしていただきたいというサービス精神と言いますか、現在の河合辰信社長になる以前からの社風のようです。

 真面目な一方で、仕事の話をしている時に不意に面白い話を盛り込んでみたりという場面が多く、日常的にも、仕事と直接関係のない会話が自然と生まれてくる雰囲気があります。こういったコミュニケーションは、会社としてどれだけ意識しているのかは分からないのですが、マーケティングはいろいろな情報のインプットやトレンドへのキャッチアップが必要ですから、良い文化だと思います。私自身もお笑い好きで、会話の中でちょっとボケてみたりとか、ダジャレを挟んでみたりとか、人を笑わせることも好きなんです。そういった点は、会社や今の仕事にも合っているのかなとすごく思っています。

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