CATCH THE RISING STAR #15

1年目から新規キャンペーンを主導、生粋の「キャッシュレス派」が三井住友カードで実現したい未来【櫻井光希氏】

前回の記事:
「ブラックサンダー」商品企画を担当、夢は新ブランド創設【有楽製菓:森田菜穂氏】
 企業におけるマーケティングの重要性が増す一方、「マーケターの仕事は生成AIに奪われるのではないか」とも囁かれる昨今。そんな変革期に、マーケティング領域で働く若者は何を考え、どう行動しているのか。

 Agenda noteでは「Z世代」と一括りにされがちな彼らの中でも、各企業が特に期待を寄せる「ライジングスター」にフォーカス。生まれた時からインターネットに触れ、テクノロジーやSNSを使いこなす彼らの多彩な思考や行動を探ることで、マーケティング領域の近未来を照射していきたい。

 第15回は三井住友カードから櫻井光希氏が登場。大学時代にマーケティングの面白さに出会い、ベンチャー的な気質と大企業の社会的影響力という「いいとこ取りができそう」な同社に入社。1年目から重要なキャンペーンの主担当を経験し、トレンドに敏感な生粋のキャッシュレスユーザーでもある櫻井氏が、事業の先に目指す未来とは。
 

ブラックフライデーのキャンペーンを主担当


―― 入社の経緯についてお聞かせください。

 就職活動は大きく2つの軸で進めました。ひとつは、漠然としていますが、世の中への影響力が大きい仕事がしたいということ。もうひとつは、若手でも裁量権を持ってチャレンジできるかどうか、ということです。

 決済業界を選んだのは、私自身が普段から現金はあまり持ち歩かず、キャッシュレス派であることや、世界と比較して日本はまだキャッシュレスの利用比率が低く、成長の余地があると考えたことが背景にあります。学生時代に小さな個人経営のカフェでアルバイトをしていたのですが、そこでは当時、キャッシュレス決済を導入しておらず、仕事終わりにお店のケーキを買って帰ろうと思っても、不便さを感じました。キャッシュレス決済を広げることは、お店にとっても消費者にとってもメリットになるし、「自分事化」して仕事ができそうだと考えました。
 
櫻井 光希 氏
三井住友カード マーケティングユニット リテンション強化スクアッド

 キャッシュレス決済業界の中でも、リーディングカンパニーである当社であれば、事業を通じて社会に大きなインパクトをもたらすことができます。また、先輩社員のインタビューなどを見ていて、若手でも手を挙げることで大きなプロジェクトを裁量を持って担当できると知ったのも、志望する要因になりました。

「若手でも裁量を持てる」にこだわるのは、学生時代の経験が影響しています。商学部に所属してはいても、正直、勉強熱心な学生ではなかった私ですが、起業家養成講座を受講した際、SNSマーケティング支援を手がけるスタートアップ企業FinTの大槻祐依さんの講演を聞いて、「めちゃくちゃ面白い」と刺激を受けたんです。

 それをきっかけに1年間、FinTでインターンをしてInstagramの運用代行などを経験し、仕事を自分事化しながらも、良い意味でゲームのように楽しむ素晴らしさを知りました。その点、ベンチャー企業のようなチャレンジングな気質も持ち合わせつつ、世の中に対して影響力を持つ三井住友カードは「大手とベンチャーのいいとこ取りができる」と感じました。

 あと、これも極めて個人的なこだわりですが、テンションの上がる職場で働きたかったんです(笑)。本社のある豊洲は景色や雰囲気が良くて、学生時代からお気に入りでした。金融業界でありながら服装などにおおらかな社風も自分にマッチしていると思い、第一志望として入社しました。

―― 入社以来、どのような業務を担当されましたか。

 マーケティングを希望し、マーケティングユニットのリテンション強化スクアッドというチームに配属され、主に既存会員向けにカード利用を促進するキャンペーンの企画・運用・効果検証に携わっています。1年目で最も印象に残っていて、「すべてが学びだった」と感じるのが、初めて主担当として企画からリリースまで一通りを受け持った「ブラックフライデー」の新しいキャンペーンです。

 11月の第4金曜日「ブラックフライデー」のセールに合わせて、その前後を含めた計4日間に、当社のカードを使ってお買い物していただいたお客さまに特典のポイントを付与するカード利用促進キャンペーンです。付与するポイントの条件や黒字化のための設計については正直、先輩に相談しながら「おんぶに抱っこ」状態でしたが、それ以外の部分、そもそもお客さまのニーズがあるのか仮説を立てたり、普段のキャンペーンよりも刺さる施策を考えたり、社内の予算や承認を得るために調整したりといった業務は、私がメインで担当しました。

 当社の特典付与キャンペーンは基本的に、ユーザーの主体的なアクションを促す「エントリー制」です。通常は、キャンペーン期間に入らないとエントリーできない仕組みなのですが、今回は4日間と極めて短いことから、事前エントリー制を導入しました。そのため、アプリのVpassでプッシュ通知したり、専用のページをつくったりといった事前の告知にも力を入れました。

 結果的には、目標を超えることができて、手応えを感じました。同時に、多くの先輩方に迷惑をかけながらだったので、とりあえず「良かった」という安堵も大きかったです。ただ、期間中のカード利用額が増えたからといって、成功かというと一概に判断できません。キャンペーンで特典を受け取った方々の、その後の利用状況といった効果の検証もしなければいけませんし、次の施策に生かしていかなければいけないと考えています。

 ちなみに、1年目から大きな予算が関わるキャンペーンを経験させてもらえるのは、大抜擢されたわけではなく、職場の文化です。大変でしたが、このような機会を与えてもらえたことに感謝しています。

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録