広報・PR #19

自民総裁選も間近、デジタル時代の選挙広報戦略 「X」活用の12戦略を解説

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 2024年9月27日に実施される自由民主党総裁選挙が迫る中、その候補者と陣営はコミュニケーション上の多様な課題に直面している。特に、X(旧Twitter)をはじめとするSNSの効果的な活用が、選挙戦略において重要な要素となっている。選挙広報活動では、限られたリソースを用いて短期間で最大限の成果を出さなくてはならない。

 こうした中で、どのように効果的なデジタル戦略を構築し、有権者の心に響く効果的なメッセージを届けることができるかが選挙におけるキャンペーンの成功の鍵となる。今回はXを最大限に活用するための12の具体的な戦略を提案する。選挙活動だけでなく、一般企業の広報活動でも参考となるだろう。
 

1. リアルタイム性の戦略的活用


 選挙広報において、Xのリアルタイム性を戦略的に活用することは極めて重要である。選挙期間中、ニュースや世論の変動に即座に対応する必要があるため、Xなどのプラットフォームが迅速な情報配信を可能にする。選挙期間中には、有権者の動向、競合候補の発言、メディアの報道をリアルタイムでモニタリングし、それらの情報に基づき、候補者のポジショニングやメッセージ戦略を迅速に調整し、適切なタイミングで情報提供を行う必要がある。

 さらに、候補者の演説や討論会が終了した直後に、重要なポイントや反論を短い投稿で即座に発信することで、議論の流れをコントロールし、有権者に対して候補者の立場や意見を明確に伝えることが可能となる。定期的にX上でリアルタイムのQ&Aを設け、有権者からの質問に候補者自身が直接回答することは、有権者との直接的な接触を増やし、信頼感を高める。

 選挙広報活動におけるXのリアルタイム性の利点を最大限に活用し、選挙戦略の成否に大きな影響を与えることが可能となる。
 

2. ハッシュタグの効果的利用


 選挙広報では、メッセージの可視性と一貫性を高めるために、専用ハッシュタグを効果的に利用することが重要だ。候補者名や地域名を含めたハッシュタグを作成し、一貫して使用し続けることで、選挙キャンペーンとしての認知度を高めることができる。

 また、地域ごとのハッシュタグを設定すれば、地元有権者とのつながりを強化し、地域密着型の選挙活動を展開できる。地元の問題に関心を持つ有権者に向けて、ターゲットを絞ったハッシュタグの活用で、メッセージの到達率を高めることが可能となる。
 

3. ビジュアルコンテンツの活用


 視覚的な効果を高めることで、メッセージはより有権者に伝わりやすくなる。特に画像や短い動画は、テキストだけの投稿よりも高い注目を集めることができる。候補者の活動風景や政策の要点を分かりやすく視覚的に伝えることで、有権者の関心を引きやすくなる。

 たとえば、街頭演説の動画共有は、その場にいない有権者にも候補者の声や表情を通じて人柄や個性をリアルに伝えられる。また、政策は数値データを含めたインフォグラフィックスで表現すれば、複雑な情報も分かりやすく伝達できる。ライブ配信機能を使えば、政策発表会見などをリアルタイムで共有し、インタラクティブなつながりをつくり出せる。

 ビジュアルコンテンツ作成には技術とセンスが必要だが、専門家を起用できない場合はスマートフォンや無料デザインツールの活用など工夫が求められる。質より量を重視し、日々の活動を着実に記録し共有していくことが、長期的な支持拡大につながる。

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