【読書の秋】トップマーケターが本気で推したい1冊 #04

【読書の秋】近鉄都ホテルズ 能川一太氏、花王 廣澤祐氏が本気で推したい1冊

前回の記事:
【読書の秋】スープストックトーキョー 工藤萌氏、リクルート 萩原幸也氏が本気で推したい1冊
 涼やかな虫の音をBGMに「読書の秋」を堪能したい季節になってきた。働いていると本を読めないという実感をそのままタイトルにした新書も話題になった昨今、それでも成長し続けたいマーケターの一助になればと、トップマーケターたちの「本気で推したい1冊」をご紹介する。バラエティー豊かな選書から、ぜひ気になる本を見つけ、ビジネスの成功につながる新たな視点とアイデアに触れてほしい。
 

近鉄都ホテルズ/取締役 ホテル運営本部 副本部長 能川 一太 氏


本気で推したい1冊:アースダイバー
中沢 新一(著)、講談社

 

 東京・渋谷のスクランブル交差点が、かつては道玄坂と宮益坂に取り囲まれた水の底であったことから、その名に「サンズイ」と「タニ」が使われていることはご存知の方も多いでしょう。では、なぜそこに今の街ができたのか。また、歌舞伎町という地名は、歌舞伎座のある銀座にではなく、なぜ新宿にあるのか。

 その土地の成り立ち、名前、そこで固有のビジネスが生まれたのはなぜなのか。単純に雑学としても面白いのですが、読み方によってはビジネスに役立つ、とても示唆に富む本です。トラベルジャーナリストの寺田直子さんと食事をしている時に薦められました。

 また、今年の6月まで総支配人を勤めた、白金台にあるシェラトン都ホテル東京に着任した際、なぜお客様が来てくれるのか、そこに何があるからなのか、そもそもなぜそこにホテルが出来たのか、それを知ることがお客様をお迎えするためにも、とても大切なことだと気づきました。そこで、近くにある港区立郷土歴史館へ足を運び、司書の方に色々と参考文献を出して頂き、とても参考になりました。

 そんな経験もあって、本書が皆さんにとって、ビジネスを成功させるためにはそのプロダクトの意義や歴史を知ることが大切で面白いのだ、と気付くきっかけになればと思います。因みに2019年には増補改訂版が出ているほか、関西の方には大阪バージョン『大阪アースダイバー』(いずれも講談社)がお薦めです。
 

花王DX戦略部門 インタラクティブプラットフォーム統括センター オウンドメディアインプリメント部 廣澤 祐 氏


本気で推したい1冊:行為の経営学 経営学における意図せざる結果の探究
沼上 幹(著)、白桃書房

 

 私が推したい1冊は沼上幹著『行為の経営学:経営学における意図せざる結果の探究』です。

 基本的には経営学研究者を志す人間をコアターゲットとして書かれているため内容は非常に難解ですが、一般のビジネスパーソンにとっても多くの示唆を与えてくれる書籍です。

 本書は、世の中で生じている現象の見方、人間のモノの考え方について、哲学的なバックグラウンドを含めて鋭く分析・解説しています。そのため、本書を読むことで、個々人が無意識に持っている前提や思考のクセがどういったものなのか、また、それはどのような主義や思想から生じているのかを理解することができます。

 結果として、「なぜ○○さんとはいつも意見が食い違うのだろう?話が噛み合わないのだろう」といった日常的に生じる疑問も解消できますし、他者へ物事を説明するときに必要な論理の構築についても学習することができます。

 繰り返しますが非常に難解な書籍であり、私自身、何周も読み直しています。興味があればぜひ挑戦してほしいと思います。


※編集部注※記事内で紹介した書籍をリンク先で購入すると、売上の一部がAgenda noteに還元されることがあります。

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