【読書の秋】トップマーケターが本気で推したい1冊 #05

【読書の秋】ソーダストリーム 出口昌克氏、パナソニックコネクト 関口昭如氏が本気で推したい1冊

前回の記事:
【読書の秋】近鉄都ホテルズ 能川一太氏、花王 廣澤祐氏が本気で推したい1冊
 涼やかな虫の音をBGMに「読書の秋」を堪能したい季節。働いていると本を読めないという実感をそのままタイトルにした新書も話題になった昨今、それでも成長し続けたいマーケターの一助になればと、トップマーケターたちの「本気で推したい1冊」をご紹介する。バラエティー豊かな選書から、ぜひ気になる本を見つけ、ビジネスの成功につながる新たな視点とアイデアに触れてほしい。
 

ソーダストリーム ジャパンカントリーマネージャー 出口 昌克 氏


本気で推したい1冊:残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する
エリック・パーカー(著)、橘玲(監訳)、飛鳥新社

 

 私が勤めていた会社を転職先も決めずに辞めてしまって、不安を抱えながら本屋で1日6~7時間過ごしていた時に出会った本です。その内容はまさに「残酷」で衝撃的。薄々分かってはいたけれど、認めたくなかった事実がさまざまな調査や研究の引用により明らかになります。

 たとえば、「ボスの自分に対する評価を管理するほうが、仕事での頑張りよりはるかに重要」。目の前の仕事に集中し頑張っていれば誰かが見ていてくれて、認めてくれるはずだ、という理想を抱いていた私としては、虚しさと嫌悪感を持った言葉でした。ただ、先輩マーケターから聞いた「君がどんなに素晴らしいマーケティングプランをつくったとしても、会社に売り込めず、投資を取れず、実行できなくては結果はゼロだ」という言葉を思い出しました。

 上司をコントロールし、自分のやりたいマーケティングプランを実行するのは自分の仕事。この本に書かれている残酷な事実に絶望するのではなく、それを認めた上で乗り超える方法、活用する方法を考えなくてはと決意させられた一冊です。ちなみに、「仕事を選ぶときには、一緒に働くことになる人をよく見ることですね。あなたが彼らのようになる可能性は高い。彼らを変えることはできない」という言葉も目から鱗で、その後の転職面談では有効活用しました。
 

パナソニック コネクトデジタルカスタマーエクスペリエンス エグゼクティブ ダイレクター 関口昭如氏


本気で推したい1冊:マーケティング〔新訂〕 (放送大学教材)
井上 淳子 (著)・石田 大典 (著)、放送大学教育振興会

 

 おそらくこの本を紹介することを「意外!」と思われた人も多いと思います。マーケティング業務に初めて携わる人がいれば、「この先いったい、どこまで泳げばいいのだろう?」「この海はいったいどれくらい広いんだろう?」「自分がやっている業務はマーケティングなの?」「全体の中のどこの部分をやっているのだろう?」と思うことは多いはずです。

 また、「XXXXマーケティング」という手法論をベースに、ある部分だけを捉えて、それがすべてと主張する書籍も多い中で、あえて網羅的に、かつ時代の流れに合わせた内容にしている本書を、あえて「マーケティング全体を知りたい」という初心者向けの書籍として推薦します。

 私は最新のものを含めて過去の4版(すべて筆者は異なります)を持っていますが、過去の版ごとの違いや、その時代背景などと照らし合わせて考察してみることも面白いかもしれません。その意味でも初心者だけではなく、マーケティングの意味を再確認したいベテランにも適しているかもしれません。

 最新版には、事業、企業レベルの戦略的マーケティングなどいくつかの内容が加わりました。また、マーケティングコンセプトと、製品コンセプト、販売コンセプトとの明解な対比や、「社会的マーケティングコンセプト」という領域の追加など、マーケティングのアップデートを常に考えているところも見習いたいところです。


※編集部注※記事内で紹介した書籍をリンク先で購入すると、売上の一部がAgenda noteに還元されることがあります。

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