【読書の秋】トップマーケターが本気で推したい1冊 #08

【読書の秋】キンドリルジャパン 加藤希尊氏が本気で推したい1冊

前回の記事:
【読書の秋】UCCジャパン 里見陵氏、ベストインクラスプロデューサーズ 菅恭一氏が本気で推したい1冊
 夜は涼やかな虫の音をBGMに「読書の秋」を堪能したい季節。働いていると本を読めないという実感をそのままタイトルにした新書も話題になった昨今、それでも成長したいマーケターの一助になるために、トップマーケターが「本気で推したい1冊」を紹介する。最終回の今回は、キンドリルジャパンの加藤希尊氏が、自身の思考に新たな視点を与えてくれたという特別な読書体験をつづる。
 古典的名著から最新のビジネス本まで。バラエティー豊かな「トップマーケターの推し本」から、ぜひ気になる1冊を見つけ、ビジネスの成功につながる視座とアイデアに触れてほしい。
 

キンドリルジャパン Vice President, CMO 加藤 希尊氏


本気で推したい1冊:思考の整理学
外山 滋比古(著)、筑摩書房

 

 社会人になりたての頃、広告代理店で顧客のアカウントを担当していた私は、毎日のようにクライアントの課題解決に向けた企画書作成に追われていました。優先順位の異なる多くの情報が混在し、クライアントの中でも課題が整理されていない状況の中から、いかに正解に近い道筋を見つけ出し、マーケティングプランとして提案するかというスキルが求められていたのです。そんな時に出会ったのが『思考の整理学』でした。

 本書は単なるノウハウ本ではなく、”思考整理のドアオープナー”として、私の思考に新しい視点を与えてくれました。著者・外山 滋比古氏は「思考の整理とは、低次の思考を抽象化し、メタ化することで高度の思考となる」と説いています。アイデアは「寝かせて醸酵させる」ことでより洗練されるという著者の考えは、当時の私に大きな影響を与えました。

 この書籍をきっかけに、その後はいくつもの思考整理アプローチを試し、今ではどれくらい時間をかけてアイデアを寝かせればいいのか、就寝の間にもアイデアが醸酵し、進化を遂げるという自己の中にある力を認識することができるようになりました。何百もの企画提案を実践する中で、戦略プランや企画をまとめる際に、何度思考を巡らせれば提案として完成するかをマーケターとして見極めるスキルを、この1冊から学びました。

 40年以上前に刊行されたにもかかわらず、その内容は今日のAI時代においても色褪せず、思考力の鍛錬において普遍的な価値を持っています。


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