CATCH THE RISING STAR #23
タカラトミーの大ヒット玩具「ぷにるんず」担当の若手マーケターが目指す「親を説得できる」プロモーション【中山日菜乃氏】
企業におけるマーケティングの重要性が増す一方、「マーケターの仕事はAIに奪われるのでは」とも囁かれる昨今。そんな変革期に、マーケティング領域で働く若者は何を考え、どう行動しているのか。
Agenda noteでは「Z世代」と一括りにされがちな彼らの中でも、各企業が特に期待を寄せる「ライジングスター」にフォーカス。生まれた時からインターネットに触れ、テクノロジーやSNSを使いこなす彼らの多彩な思考や行動を探ることで、マーケティング領域の近未来を照射していきたい。
第23回に登場するのは、タカラトミーの入社4年目マーケターの中山日菜乃氏。シリーズ累計出荷数が70万個を突破している新〝触感〟液晶お世話トイ「ぷにるんず」のマーケティングを担う中山氏が「ヒットの連続」を目指して心がけることとは?
Agenda noteでは「Z世代」と一括りにされがちな彼らの中でも、各企業が特に期待を寄せる「ライジングスター」にフォーカス。生まれた時からインターネットに触れ、テクノロジーやSNSを使いこなす彼らの多彩な思考や行動を探ることで、マーケティング領域の近未来を照射していきたい。
第23回に登場するのは、タカラトミーの入社4年目マーケターの中山日菜乃氏。シリーズ累計出荷数が70万個を突破している新〝触感〟液晶お世話トイ「ぷにるんず」のマーケティングを担う中山氏が「ヒットの連続」を目指して心がけることとは?
原体験はマクドナルドのバイト
―― 入社の経緯はやはり、おもちゃが好きという思いがあったのですか?
おもちゃに特別な思い入れがあったというよりも、「子どもたちに笑顔を届けたい」という思いがありました。というのは、高校1年から大学4年までの7年間、ずっとマクドナルドでアルバイトをしていたんです。その際、「トミカ」などおもちゃが付いたハッピーセットを子どもたちに直接手渡す瞬間が何度もあって、その時の子どもが喜んでいる姿や笑顔を間近に見て、おもちゃに興味を持ちました。子どもに喜びを与えられるおもちゃメーカーに入りたいと思い、その中でも、親世代から子どもまで幅広く、信頼のあるタカラトミーに入社を決めました。
バイト経験から得られたものは色々ありますが、ひとつは「継続力」です。ずっと同じ店舗で働いて、最後は「バイトリーダー」にまで上がったのですが、当時はそれまでに幾つもの段階があり、それぞれの役職によって求められる技能や役割が違いました。これらを全て経験することで得られたものはとても大きくて、継続することの大切さを体感しました。
中山 日菜乃 氏
タカラトミー Hitsビジネス本部 ファッションエンターテイメント事業部 マーケティング課
タカラトミー Hitsビジネス本部 ファッションエンターテイメント事業部 マーケティング課
―― アルバイト経験から「継続力」を培われたんですね。タカラトミーに入社してからは、どのようなお仕事をしてきたのですか。
入社後はまず、1年目の12月まで研修を受けました。私の入社時の研修は、まずはおもちゃを遊び尽くす「遊び込みの会」があり、商品を知るところから始まり、安全性や訴求ポイントについてグループで話し合いをします。他にも営業研修やマーケティング研修、年末には店頭に立っておもちゃの品出しをしたり、お客さまと触れ合ったりして、その後の配属部署が決められました。
私は研修でデータ分析などを学ぶうち、マーケティングについて「知れば知るほど面白い」と興味を持ち始めました。正解のない中で、マーケター自身が細かくロジックを組み立てて仕事を進めていくのは、とても奥が深いです。1年目の1月からは、主に液晶玩具やアクションぬいぐるみ、キャラクター商材を扱うファッションエンターテイメント事業部に配属され、希望通り、マーケティング担当をしています。最初は先輩社員や上司についてマーケティングの現場に携わり、今は「ぷにるんず」という商品をメインで担当しています。
―― 「ぷにるんず」は2021年に発売開始されて以来、ヒット商品として話題になっていますね。液晶画面でキャラクターをお世話する玩具は、他にもある中で、「ぷにるんず」は何がヒットの要因だったんでしょうか。
液晶画面の中でキャラクターのお世話をするというコンセプト自体は昔からありますが、「ぷにるんず」は本体の横に穴があり、穴に指を入れて中の「ぷにぷにボタン」に触ると、液晶画面にも指が現れ、キャラクターを本当になでなでしているように映ります。「触る」というアナログさと、デジタルを融合した新〝触〟感トイとしてデジタルネイティブ世代の子どもに刺さり、第1弾からヒットしている商品です。
私は途中からこのマーケティングを引き継ぎ、「ぷにるんず」に関するテレビCMやYouTube広告、インフルエンサーとのタイアップ企画のほか、店頭販促物や店頭什器など、商品を世に送り届けるまでのプロモーションを担当しています。2022年からはテレ東系列などでテレビアニメの放送・配信が始まり、2024年3月にはシリーズ第3弾となる「ぷにるんず ぷにともつーしん」も発売されました。