TOP PLAYER INTERVIEW #78

売上・利益ともに過去最高のカンロ、それを支える2つの成長戦略とは?【マーケティング本部長 内山妙子氏】

 

顧客起点で取り組むカンロの拡張と深化


―― 2024年1⽉、顧客起点を強化するためにマーケティング組織を改編されました。マーケティング組織を改編された背景を教えてください。

 会社全体として、これまで以上にマーケティングを強化すべきという課題感があり、そのためのテコ入れを進めてきました。組織改編前は、デジタルマーケティングやEC部門は、マーケティングチームとは異なる部隊として機能していました。

 また、各ブランドに対して個別にマーケティング活動を行っていましたが、新組織ではデジタルやECなどの関連領域を統合しました。その一環として、コロナ禍で先行きが不透明な状況の中、社会や人々の生活にどのように貢献できるかを深く考え、「Sweeten the Future 心がひとつぶ、大きくなる。」というパーパスを策定しました。

 店頭販売やECにおいても、「顧客起点」を大事にしています。会社が成長していくときに、顧客層を広げていく拡張はもちろん大切ですが、一人ひとりのお客さまに長く購入いただくような深化も大切だと考えています。この両面を推進するために、現在の体制に変更しました。

―― 「拡張」と「深化」という2つの軸を強化するために実施されていることを教えてください。

 お客さまが当社の商品を購入する場所をEC含めて多面化することが拡張だと考えています。現在の販売戦略の屋台骨はスーパーマーケットやコンビニエンスストアの店頭販売ですが、それらの場で購入する人と直営店「ヒトツブカンロ」で購入する人とは、商品を購入するモチベーションが大きく異なります。このように購入する場所によって、さまざまなマインドのお客さまと出会えることも拡張のひとつのメリットです。
  
ヒトツブカンロ グランスタ東京店(JR東京駅構内にある直営店のキャンディショップ)

 次に深化を強めるためには、デジタルの力をマーケティングに取り入れることはもちろんのこと、CRM(顧客関係管理)やファンコミュニティの運営にも注力しています。特に現在はテスト的にカンロのファン約240人のクローズドコミュニティを運営しています。

 このコミュニティでは、カンロのファンになってもらうために、限定情報の発信やファン同士でつながるSNS的なプラットフォームの提供、オンラインやオフラインのイベントへの招待、さらには商品や会社に対するアンケートに回答してもらうなど、さまざまな取り組みを行っています。

 コミュニティーメンバーは、ECで頻繁に購入してくださるコアなファンで、オンラインとオフラインの両方で会話しています。私たちは、そこでどれだけファンと深く濃くつながれるかを意識しています。こうした活動によって得られるゼロパーティーデータやファーストパーティーデータをどのように活用し、お客さまに新たな価値を還元できるかが今後の課題だと考えています。

※後編 「3秒で買わせる店頭」から「心をつかむEC」まで、カンロのマーケティング改革の真髄【内山妙子氏】 へ続く
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