2025年マーケティング業界の展望 #02
トップマーケターが語る2025年の展望【秋田夏実氏、西井敏恭氏】
2025/01/02
- 前回の記事:
- トップマーケターが語る2025年の展望【音部大輔氏】
2025年が始まった。生成AIが日常に溶け込み、テクノロジーや社会情勢の激変に伴うマーケティングの変化も避けられない中で、事業成長を担うマーケターは何を見据え、目指せばいいのか。2025年のマーケティング領域における展望をトップマーケターが語る。
パーパスを軸に誠実な姿勢を貫く
秋田 夏実 氏
みずほフィナンシャルグループ 執行役 グループCCuO兼グループCBO
みずほフィナンシャルグループ 執行役 グループCCuO兼グループCBO
生成AIはコンテンツのパーソナライズを加速させますが、マーケターはAIと役割分担し、共感力とクリエイティビティを加えて高次な顧客体験を提供することが求められます。AIはあくまで補助ツールであり、ブランドへの信頼や個性を損なわないように留意しなくてはなりません。また、顧客のプライバシーを尊重し、価値ある体験を提供することで、顧客が自ら提供するゼロパーティデータを得る努力も重要です。
こうした環境下で、企業のパーパスはブランド価値を形づくる核となります。社会課題や環境問題への真摯な取り組みは、顧客との信頼関係を深め、企業を単なる利益追求から、社会的価値を提供する存在へと高めます。
さらに、メタバースやARの進化により、若年層を中心にリアルとデジタルを融合させた没入型体験への関心も高まります。そこにおいてもパーパスを軸にした一貫したメッセージが、ブランド価値を高める鍵となるでしょう。
マーケターは技術を活用しつつ、顧客理解と社会課題に向き合い、パーパスを軸に誠実な姿勢を貫くことが必要です。
AIファーストの発想へ転換を
西井 敏恭 氏
シンクロ 代表取締役社長
シンクロ 代表取締役社長
2025年も引き続き、生成AIへの注目が高まっています。この1年で、生成AIを活用してペルソナの作成、市場規模の概算、コンテンツの生成といった業務が容易に行える環境が整いつつあります。これにより、従来の「退屈で手間がかかる」業務から解放され、効率が向上することが期待されます。
しかし、私自身を含め多くの人は「生成AIのない時代の働き方」の習慣に縛られがちなのではないでしょうか。AIを軸にした「AIファースト」の発想へ早急に切り替える必要性があると感じています。
マーケティングの視点では、顧客理解の重要性がさらに増すと考えられます。生成AIは便利な一方で、同質化しやすいという課題があります。そのため、自社ブランドや顧客、自社データに基づく独自の価値を明確にし、それを表現することが鍵となるでしょう。
お客さまが感じている価値を深く理解し、それをさらに伸ばす商品やサービスの開発、そして他のお客さまに伝播させるためのコミュニケーションアイデアを、生成AIと協働してつくり上げるスキルが、これからのマーケターに求められるのではないでしょうか。