2025年マーケティング業界の展望 #03
トップマーケターが語る2025年の展望【工藤萌氏、里村明洋氏】
2025/01/03
2025年が始まった。生成AIが日常に溶け込み、テクノロジーや社会情勢の激変に伴うマーケティングの変化も避けられない中で、事業成長を担うマーケターは何を見据え、目指せばいいのか。2025年のマーケティング領域における展望をトップマーケターが語る。
社会的価値の創造が深く根付いていく
工藤 萌 氏
スープストックトーキョー 取締役社長
スープストックトーキョー 取締役社長
パーパス、サステナビリティ、ダイバーシティ&インクルージョン――次々と生まれるカタカナ語たち。これら自体に罪はありません。ただ、カタカナ語や英語を多用することで、表面的な「それっぽさ」や「やっている感」に陥っていないか、私は常に自問自答しています。
社会的価値の創造。このことが私たちに投げかけるのは、本質的な問いです。従来のマーケターが重視してきた「顧客が求めるから」「収益が見込めるから」という理由だけで意思決定してもよいのでしょうか。より直接的に言えば、「顧客ニーズが変われば、その活動は放棄するのか」という問いに、私たちは確固たる信念を持って答えられなければいけません。
2025年においても「社会的価値の創造」は、本業に不可欠な取り組みとして深く根付いていくでしょう。この課題を完璧に、簡単にやり遂げるのは難しいことを認識しつつも、私たちマーケターや経営者には、「儲かるからやる」のではなく、「儲かるようにやる」力があると信じています。そのためには、私たち作り手の誠実さが一層重要になるでしょう。この姿勢こそが顧客の共感を呼び、健全な社会の発展に繋がっていくと信じています。
新しい技術を受け入れる組織文化の醸成が鍵
里村 明洋 氏
ビザ・ワールドワイド・ジャパン マーケティング本部長 Vice President, CMO
ビザ・ワールドワイド・ジャパン マーケティング本部長 Vice President, CMO
2025年以降、マーケティングリーダーは、多様化されたメディアに対し、高い透明性と倫理基準を維持しつつ、データに基づく洞察を活用した取り組みを推進する必要があります。AIの活用はさまざまな業務に必要不可欠となっており、新しい技術を受け入れる組織文化の醸成がビジネスの鍵となります。
我々の業界では、モバイルプラットフォームを通じた非接触型決済の普及がより促進されることが予想されます。Visaとしては公共交通機関におけるタッチ決済を含め、ショッピングも移動もよりシームレスな決済の実現のために、ますますの普及に力をいれていきたいと思います。また、B2Bのトランザクションにおける決済も、よりDX化を進めることが必要で、それによってさらなる業務の効率化に繋がります。
マーケティングはそれら新しい技術やデータを駆使し、顧客のニーズや嗜好がより細分化されたコンテンツやオファーを提供することと同時に、より一貫したブランドの展開が求められると考えています。