2025年マーケティング業界の展望 #04

トップマーケターが語る2025年の展望【清水明子氏、佐々木丈也氏】

前回の記事:
トップマーケターが語る2025年の展望【工藤萌氏、里村明洋氏】
 2025年が始まった。生成AIが日常に溶け込み、テクノロジーや社会情勢の激変に伴うマーケティングの変化も避けられない中で、事業成長を担うマーケターは何を見据え、目指せばいいのか。2025年のマーケティング領域における展望をトップマーケターが語る。
 

より先鋭化された本質的なブランド価値創りへ

 
清水 明子 氏
資生堂ジャパン クレ・ド・ポー ボーテ 事業部 マーケティング ヴァイス プレジテント

 昨年の秋、97歳のマエストロであるヘルベルト・ブロムシュテット氏の指揮によるブラームスを聴く機会に恵まれました。すべてのコミュニケーション・タッチポイント、体験設計において、施策が「点の集合」にならず「線」に転換できている秀逸なマーケティングプランは美しい交響曲にも通じ、「ブランド」という資産の積み上げを実現します。

 ブランド・エクイティの積み上げに寄与しないSNSでの一時的な話題化や一過性のプロモーションはあっという間に生活者から忘れ去られ、本質的なブランド価値の認識の向上に貢献しないため投資のROI(Return On Investment:投資利益率)も低くなります。小手先の「売らんかな」が先行する施策は生活者に透けて見えます。情報もモノも溢れ続ける時代だからこそ、一時的な売上を取るための悪魔の囁きに惑わされず、本質的なブランド価値づくりがより求められる年になっていくと思います。
 

AI活用と「意志」あるマーケティングへ

 
佐々木 丈也 氏
三井住友カード 専務執行役員 マーケティング本部長

 2025年はまさにAI、特に生成AIが主役になる年ではないでしょうか。

 ご存知の通り、生成AIは膨大なデータを「瞬時に」解析し、顧客の嗜好や行動パターンをリアルタイムで把握する能力を持ちます。これにより、マーケティングのプロセスは従来の画一的かつ一方向的なアプローチから、パーソナライズかつ双方向でインタラクティブなものへと進化するでしょう。

 特に2025年に向けて強く言えることは、2024年までは正直、妄想も含んでいたマーケティングが現実にできる、ということではないでしょうか。三井住友カードとしても2025年からは生成AIをはじめとするあらゆるAIを活用して、マーケティングプロセスを劇的に変化させていきます。

 2024年には新たな会員と消費を結びつける「Vクーポン」や「Vミッション」などの新たなサービスもローンチしました。まさにパーソナライズな日常の顧客体験を、我々が提供できるかワクワクしているとともに、マーケティングの進化で実際に提供できる自信に心を躍らせております。

 しかし、マーケティングは最後にはヒューマナイズな「想い」です。2025年は「意志」あるマーケターになれるかどうかが、同時に問われる1年かもしれません。
 

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