新時代のエンタメ舞台裏~ヒットにつなげる旗手たち~ #14
「JO1」「INI」などZ世代に人気のアーティストを続々輩出。 LAPONE社長 崔信化氏が実行した「これまでにない選択」
2025/01/24
日本の音楽・映画・ゲーム・漫画・アニメなどのエンタメコンテンツが、世界でも注目されることが多くなった昨今。本連載は、さまざまなエンタメ領域の舞台裏で、ヒットを生む旗手たちの思考を noteプロデューサー/ブロガーの徳力基彦氏が解き明かしていく。
視聴者がアーティストグループのメンバーを選ぶ、韓国の大ヒットオーディション番組『PRODUCE 101』。今回はその日本版『PRODUCE 101 JAPAN』(以下『日プ』)を開催して、「JO1」「INI」「ME:I」などZ世代に注目されるアーティストを次々と生み出した LAPONE ENTERTAINMENT、LAPONE GIRLS(以下、LAPONE)の 代表取締役社長 崔信化(チェ・シンファ)氏に取材した。
同社は日本の吉本興業と韓国のエンターテインメント企業であるCJ ENMの合弁会社として2019年に創立。6年目にして複数の人気グループを輩出し、応援広告やグッズを通した新曲展開など、日本では珍しい取り組みにも積極的にチャレンジ。2025年1月27日~2月2日には東京ドームで『LAPOSTA 2025 Supported by docomo』を開催するなど、今最も注目されるエンタメ企業のひとつだ。短期間でこれほどの急成長を遂げられたのはなぜなのか。その軌跡に迫った。
視聴者がアーティストグループのメンバーを選ぶ、韓国の大ヒットオーディション番組『PRODUCE 101』。今回はその日本版『PRODUCE 101 JAPAN』(以下『日プ』)を開催して、「JO1」「INI」「ME:I」などZ世代に注目されるアーティストを次々と生み出した LAPONE ENTERTAINMENT、LAPONE GIRLS(以下、LAPONE)の 代表取締役社長 崔信化(チェ・シンファ)氏に取材した。
同社は日本の吉本興業と韓国のエンターテインメント企業であるCJ ENMの合弁会社として2019年に創立。6年目にして複数の人気グループを輩出し、応援広告やグッズを通した新曲展開など、日本では珍しい取り組みにも積極的にチャレンジ。2025年1月27日~2月2日には東京ドームで『LAPOSTA 2025 Supported by docomo』を開催するなど、今最も注目されるエンタメ企業のひとつだ。短期間でこれほどの急成長を遂げられたのはなぜなのか。その軌跡に迫った。
『日プ』の成功は予見していた
徳力 崔社長は吉本興業で主に韓国関連事業に携わっておられたとのことですが、LAPONEの代表取締役社長になった経緯を教えていただけますか?
崔 いろいろなご縁もあったのですが、LAPONEの事業内容はもともと僕が企画していました。最初は吉本興業とCJ ENMで一緒に面白いことができるんじゃないかと思い、映画やドラマの共作などを考えていたのですが、方向性を模索する中で、CJ ENM主催の『PRODUCE 101』が韓国で流行っていて、日本版があったら面白いのでは?という発想に変わりました。
LAPONE 代表取締役社長
崔 信化 氏
2000年 吉本興業 入社
2010年 吉本エンタテインメントソウル 代表取締役社長
2019年 株式会社LAPONE ENTERTAINMENT 代表取締役社長に就任
現在に至る
崔 信化 氏
2000年 吉本興業 入社
2010年 吉本エンタテインメントソウル 代表取締役社長
2019年 株式会社LAPONE ENTERTAINMENT 代表取締役社長に就任
現在に至る
徳力 まだ創業から6年目なのに、5つものグループがそれぞれ活躍していますよね。今でこそオーディション番組で視聴者が投票するスタイルは珍しくなくなりましたが、少し前までは事務所側でオーディションするのが普通でした。「国民プロデューサー」と呼ばれる視聴者がアーティストを選考する企画は、日本ではうまくいかないという意見が多かったのではないでしょうか。
崔 日本では珍しい試みだったので、反対は山ほどありました。僕自身、『日プ』のシーズン1の開催時は、不安をたくさん抱えていました。ですが僕のポリシーとして、弱音は絶対に吐かないことにしていました。「何があっても絶対うまくいく」と、最初から最後まで周囲やスタッフに言い続けていましたね。
徳力 日本でも流行ると予見されたのですか?
崔 韓国の企画をそのまま展開しても、日本では難しいと思いました。そこで、韓国版では事務所に所属する人から練習生を選出していましたが、『日プ』では特定の事務所に所属しない一般人から公募するという変化をつけました。日本にはもともと、経験の浅いアーティストでも育っていく過程をファンが応援する文化があります。そのため、本当に“素人さん〟から育てたほうが、日本の文化にマッチすると考えたのです。実際、番組は視聴者を上手に絡ませて、日本独自の面白さを生み出していました。
note noteプロデューサー/ブロガー
徳力 基彦 氏
NTTやアジャイルメディア・ネットワーク等を経て、現在はnoteプロデューサーとして、ビジネスパーソンや企業におけるnoteやSNS活用のサポートを行っている。個人でも、日経MJやYahooニュース!個人のコラム連載等、幅広い活動を行っており、著書に「普通の人のためのSNSの教科書」、「アルファブロガー」等がある。
徳力 基彦 氏
NTTやアジャイルメディア・ネットワーク等を経て、現在はnoteプロデューサーとして、ビジネスパーソンや企業におけるnoteやSNS活用のサポートを行っている。個人でも、日経MJやYahooニュース!個人のコラム連載等、幅広い活動を行っており、著書に「普通の人のためのSNSの教科書」、「アルファブロガー」等がある。
徳力 韓国流と日本流をうまく組み合わせたのですね。2019年9月に放送開始、同年12月の放送終了とともに「JO1」というグループが生まれ(※)、その後はCDなどの売上も予想を上回るペースでブレイクしたということですね。
※累計6500万票の投票によって101人の練習生から11人が選ばれ結成。翌2020年3月にリリースされたデビューシングル「PROTOSTAR」をはじめ、ビルボードジャパンなど各ランキング1位を連発。当初から世界市場をターゲットとし、「Love seeker」はSpotifyで「2024年にX(旧Twitter)で世界で最もシェアされた楽曲」に認定された。
崔 「JO1」がデビューした当時は、コロナウイルスの流行りはじめと時期を同じくしていました。さまざまな事情からテレビ番組などにも全く出られず、苦悩の連続。最初の会議で「CD販売を50万枚からスタートする」と言ったときには「世の中のことを何も知らないのか」と多くの人から反対されました。
徳力 デビューしたてのグループは一般に、小さくスタートして徐々に大きくしますよね。でも韓国での成功を分析した結果、日本だったらこれくらいの売上は見込めるという分析をされていたということですか。
崔 それもありますが、何より、番組を経てデビューするときの勢いやファンの熱量があればいけると判断しました。実際、ファンの皆さまのおかげで、デビューの後はいつもシミュレーションの数字を毎回超えてきていました。