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大阪・関西万博に見る企業の存在意義、パビリオンに込められたメッセージをたどる【編集部体験レポート】

 大阪・関西万博が4月13日に大阪市の人工島・夢洲で開幕しました。万博は参加する国・地域や国際機関に加え、企業が自らの未来像を発信する重要な場となっています。各社の展示には、新しい製品や技術の紹介だけでなく、企業のビジョン、社会課題への取り組み、そして次世代へのメッセージが込められています。

 現代の「マーケティング」は、マーケティング協会の定義を参考にすると、顧客や社会と共に価値を創造し、それを共有・浸透させながら、持続可能な社会の実現を目指す活動とされています。そうした考え方に立てば、万博という場は、企業が社会課題にどう向き合い、どのような未来を描いているかを体験を通じて発信できる、極めて有効な機会だと言えるでしょう。

 今回は、4月9日に開催されたメディア・デーに参加したアジェンダノート編集部が体験した一部の国内パビリオンの展示をもとに、企業が示す意思やメッセージを読み解いていきます。
 

住友館:「森」を通じて自然との共生を体感する場に

住友館は、テーマである「森」を来場者自身の課題として捉えてもらうことを目的に、体験型の演出を展開しています。来場者がランタンを手に会場を歩くことでセンサーが反応し、物語が始まる構成となっています。情報提供にとどまらず、個人の参加によって未来に関与できるという強いメッセージを打ち出しています。

 展示の締めくくりには「パフォーミングシアター」が用意されており、映像・音楽・ダンスが融合した演出によって、没入感を伴うクライマックスが演出されています。住友館は、自然や環境との向き合い方を、体験を通じて来場者に問いかける構成となっており、企業としての社会的メッセージが色濃く表現されています。
 


大阪ヘルスケアパビリオン「REBORN」:身体と向き合う健康支援企業の空間

 複数の企業が連携して運営する大阪ヘルスケアパビリオン「REBORN」は、「いのち」と「健康」を主題に据え、来場者が自身の未来と向き合う機会を提供しています。

 体験プログラムでは、来場者の健康データに基づいて「現在のからだ年齢」を測定し、さらに25年後の自身の姿に出会える仕掛けが用意されています。身体データの測定からライフスタイルの提案、未来の食事体験まで、ヘルスケアを多角的に体験できる構成で、ロート製薬やカプコンはじめ参加企業が健康領域に向ける意欲の高さが表れています。
 



パナソニックグループパビリオン「ノモの国」:感性を起点に未来を共創する

 パナソニックグループが展開するパビリオン「ノモの国」は、子どもの心を映し出せる不思議な国を舞台に、創造性を重視したストーリーを提供しています。「モノの捉え方は、心の持ちようで変わる」という考えを軸に、来場者の感情や行動が空間の変化として現れる演出をしています。

 体験の中核には、「結晶」と呼ばれるオブジェクトを来館者が所定の場所に置くと、蝶が飛び立つといった詩的な演出が展開され、個人の行動が周囲に影響を与えるというメッセージが、身体的な参加を通じて自然に伝わる構成でした。
 


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