【読書の秋】視野が広がった、視座が上がった、視点が増えた1冊 #07

ディセンシア 西野英美氏、300Bridge 藤原義昭氏の「視野が広がった、視座が上がった、視点が増えた1冊」

前回の記事:
ネスレ 島川基氏、Sun Asterisk 木村紗希氏の「視野が広がった、視座が上がった、視点が増えた1冊」
 昔に比べて短くなった感があるが、だからこそ貴重に思える「秋」。AGENDA Note.では恒例の読書企画として、ビジネスパーソンにトップマーケターが勧めたい本をご紹介する。今年のテーマは「視野が広がった、視座が上がった、視点が増えた1冊」。過ごしやすい季節を最大限活用して、自らの成長につながるお気に入りの本を見つけてみてほしい。
 

ディセンシア 代表取締役社長 西野英美氏


アルテ
 大久保圭 (著)、コアミックス
 

 もともと自分の評価や、成果をアピールすることが上手ではない私が初めて役員になった時、「過大評価もよくないが過小評価もよくない。私なんて…というリーダーにみんながついていきたいと思うか」と言われたことがありました。これまで、むしろ美徳とすら感じていた謙遜の価値観が塗り替えられ、視界がとてもクリアになったのを覚えています。

 紹介する漫画は、男女格差が強かった社会で、業界の常識や慣習を乗り越えながら当時は男性しかなれなかった画家を目指す少女の話です。絵の仕事ができるだけで幸せと、安い価格の絵の依頼も違和感なく受け入れていた主人公アルテが「それでは自分はその程度の価値のものしか作れない、といっているようなもの。それにお金を支払わせることは失礼。高い対価に見合った満足を与えられるという自信をもち、そういう仕事をしなさい」と諭されるシーンがあります。

 自分の仕事の価値を客観的に捉えること、そしてそういう仕事が出来ているかということ。これらを強く意識するようになり、また、自分の言動/思考ひとつで、ついてくるメンバーの価値も下げることになりかねない、ひいては、そのブランドを信じ使ってくださるお客さまに対してもーーと、リーダーとしてのマインドセットを見直すきっかけになりました。

 このシーンを思い出しながら、奥ゆかしさはときに、美にも毒にもなりうると肝に銘じました。だからこそ、自分の成果物はいつでも明確に語れるようにし、対価に値する価値を十分に提供できているという自信あふれるブランドづくりを徹底していきたいのです。
 

300Bridge 代表取締役 藤原義昭氏


コトラーの起業家的マーケティング

 フィリップ・コトラー (著) ヘルマワン・カルタジャヤ (著)ホーイ・デン・ホァン (著)ジャッキー・マセリー (著)恩藏直人(監訳)藤井清美(訳)、朝日新聞出版
 

 いま、私たちのまわりの環境はこれまで以上に速く変わっています。テクノロジーや社会の価値観が変化し続ける中で、従来の「決まったやり方のマーケティング」だけではうまくいかない時代になりました。

 コトラーは本書で、そのような変化の波を恐れず、自ら動いて新しい価値を生み出す「起業家的マーケティング」の重要性を語っています。

 マーケターには、分析や戦略だけでなく、未来をつくる意志が必要だと訴えており、マーケティングを単なる「販促活動」や「顧客分析」としてではなく、組織全体で新しい価値をつくる行動そのものとして描いています。

 リーダーシップや創造性、社会の見方を組み合わせ、社員一人ひとりが「起業家的マインド」を持って行動することを提案しています。変化を「待つ」のではなく、「起こす」姿勢が大切だと言っています。

 この本を読むことで、マーケターは「自分の仕事は何のためにあるのか」という原点に立ち返ることができます。日々の業務の先にある「社会への貢献」を意識しながら、変化をチャンスに変えるヒントが詰まっています。

 手法や理論を超えて、マーケティングの根っこにある「人を動かす力」を再発見できる1冊です。

※編集部注:記事内で紹介した書籍をリンク先で購入すると、売上の一部がアジェンダノートに還元されることがあります。

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