日本の広告最新事例を世界の潮流から読み解く #61
最先端のドローンショーで魅せるオロナミンC「元気ハツラツ!大空大合唱」篇 老舗ブランドが最先端テクノロジーを活用する意義
ペットフードの老舗ブランド「ペディグリー」、最先端テクノロジーを駆使した施策でシェルター犬根絶を目指す
オロナミンCと同じく何十年もの歴史を持つ老舗ブランド、ペットフードのペディグリーも、最近、最先端テクノロジーを駆使した施策「Adoptable」を展開しています。
この事例は、2024年のカンヌライオンズで、アウトドア部門グランプリ等を受賞しました。
ペディグリーのブランド・パーパスは、飼い主が見つからずシェルターで過ごす「シェルター犬」を2050年までに根絶すること。しかしながら、これまで「シェルター犬の根絶」のために使ってきたのは、メディア費全体のわずか25%に過ぎませんでした。
そこでペディグリーは、すべての広告を「シェルター犬の根絶」に繋げることにしました。具体的には、アウトドアのサイネージ広告の写真で、シェルター犬を一匹ずつフィーチャーできるようにしたのです。
シェルター犬は、撮影環境や写真の質が低くて魅力的に見えない場合が多く、そのまま広告写真に使っても養子縁組のきっかけが生まれにくいと考えられました。そこで最先端のAI技術を駆使してシェルターで過ごす犬の写真を加工し、広告写真として使えるクオリティまで高めました。また、1枚の写真からその犬の様々なポーズや表情をつくり出すことにも成功します。
広告では、実際のシェルター犬が「家に帰るの?一緒に行っていい?」といった、未来の飼い主の心をくすぐるコピーとともに登場し、気になった里親候補者がQRコードからその犬の詳細な情報にアクセスし、簡単に会いに行くことができるようにしました。
その結果、シェルターのサイト訪問者数は6倍となり、広告に登場したシェルター犬の50%は、最初の2週間のうちに里親が見つかったといいます。老舗ブランドのペディグリーがこうした最先端テクノロジーを用いた施策を実行することは、ブランド・イメージのアップデートにも大きく寄与したと思われます。
ペディグリー「Adoptable」
長い歴史があるだけに、様々な場面で動きの鈍い伝統的日本企業を指して、JTC(ジャパニーズ・トラディショナル・カンパニー)と揶揄する言い方も、近頃ではよく耳にします。しかし、トラディショナル・カンパニーこそ、新しい風を感じる事柄に取り組む必要があるのではないでしょうか。
もちろん、ただ単に最先端テクノロジーを使えば良いというわけではありません。今回取り上げた2つのブランドの例を見ても、自分たちの伝えたいメッセージが明確に存在していて、そのことを効果的に伝えるために“わざとらしくなく”最先端テクノロジーを活用しているところが、多くの方のヒントになり得るのではないでしょうか。
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