日本の広告最新事例を世界の潮流から読み解く #62

カロリーメイトの最新CMが描く、AI時代の受験生活 ー 令和の「スライス・オブ・ライフ」の好例

 

少し前の“新しい日常”「スマートスピーカー」をみごとに活用、バーガーキングのカンヌ受賞事例


 さて、少し前の“新しい日常”であった「スマートスピーカー」をお茶目に活用したバーガーキングの「Google Home Of The Whopper」をご紹介しましょう。この事例は、2017年のカンヌライオンズで、ダイレクト部門グランプリ等を受賞しました。

「スマートスピーカー」とは、対話型の音声操作に対応し、(当時の)AIアシスタント機能を持つスピーカー。GoogleのGoogle HomeやAmazonのAlexaが知られており、2016~2017年頃にヒットして、一定程度日常的に用いられるようになりました。Google Homeは「OK, Google」、Alexaは「Alexa」と話しかけることで、それぞれのスマートスピーカーが対話型で返答してくれる仕組みになっています。今はほとんど使いませんが、我が家にもAlexaは置いてあります。

 このバーガーキングの事例では、当時の最先端グッズであったスマートスピーカー、なかでも「Google Home」を巧みに活用しました。

 バーガーキングの店員役の男性がテレビCMを見ている人に向かって、こう話しかけます。「15秒間のCMじゃ、残念ながらワッパーの新鮮な材料を説明することはできない」。この連載でも何度か説明していますが、ワッパーとはバーガーキングで一番スタンダードなハンバーガーのことです。

 すると、このCMの「OK, Google」の一言に、視聴者の自宅のGoogle Homeが反応して、ウィキペディアの説明を読み上げるという仕掛け。「ワッパーは添加物が一切含まれていない、100%牛肉のパティを焼いたものに・・・」とバーガーキングが伝えて欲しい内容が「Google Home」によって読み上げられました。あらかじめバーガーキングのスタッフが、ウィキペディアの内容をそのように書き換えていた、と言われています。

 その後、Google側が、当該のテレビCMの音声にはGoogle Homeが反応しない措置を施すなど騒動にはなったものの、当時の“新しい日常”であるスマートスピーカーをいち早く活用した事例として、高く評価されました。
 

バーガーキングの「Google Home Of The Whopper」

 広告コミュニケーションはもちろんですが、多くのビジネスで、その時代の環境、変化する日常に上手に対応していくことが求められていると思います。

 そう言いながら僕自身も、そんなにAIを使いこなしているわけではありませんが、少なくともAI活用の実態には、多くの注意を払って暮らそうと考えています。皆さまも、ぜひ。
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