2026年マーケティング業界の展望 #10
トップマーケターが語る2026年の展望【加藤希尊氏、榮枝洋文氏】
2026/01/13
均一化を越えたAI Nativeマーケティング組織が前提に
加藤 希尊 氏
キンドリルジャパン
Vice President, CMO
キンドリルジャパン
Vice President, CMO
AI活用が進むにつれ、マーケティングのアウトプットは均一化していくのではないか。こうした懸念は、2026年に向けて多くのマーケターが抱える共通の問いです。誰もが同じAIツールを使い、同水準の分析やクリエイティブを生み出せる時代において、差別化はどこから生まれるのでしょうか。
この問いに対するひとつの答えが、「AI Nativeなマーケティング組織」という発想です。AI Nativeとは、AIを単なる効率化ツールとして使うのではなく、AI活用を前提に、組織と現場の両方でマーケティングスキルや意思決定の拡張が設計されている状態を指します。
重要なのは、AIはスキルを代替する存在ではなく、スキルの拡張幅を増幅させる存在だという点です。マーケティング実務においても、もともとのスキルレベルが高い個人やチームほど、AIによってアウトプットの質と量を大きく伸ばすことができます。均一化されるのはアウトプットの「最低水準」であり、組織としてどこまで到達できるかという「到達点」には、設計次第でむしろ差が生まれます。
一方で、状況判断や意思決定、責任の所在といったリーダーシップの領域は、AIによって均一化されにくい分野です。AIはシミュレーションや壁打ち相手として有効に機能しますが、最終判断と責任は常に人に残ります。これは経営判断に限らず、現場における優先順位付けや日々の意思決定も含まれます。
2026年に問われるのは、AIを導入しているかどうかではありません。四象限が示すように、どのスキルをAIで拡張し、意思決定のどこを人が担うのか。その設計と運用を、経営と現場がどう共有し、実装できているか。その設計思想こそが、AI時代のマーケティング組織の競争力となるでしょう。
まず問うべきは、マーケティングスキルや意思決定プロセスのうち、何をAIで拡張し、どの判断を人が最終責任として担うのかを言語化できているかどうかです。
AIを「振り回す側」を見るスキル
榮枝 洋文 氏
ベストインクラスプロデューサーズ(BICP) ニューヨークオフィス代表
ベストインクラスプロデューサーズ(BICP) ニューヨークオフィス代表
AI利用が爆増する状況に対して、日本ではまだ無風な巨大分野が存在します。2026年以降、必ず大慌てになる風域、それは現在米国のビックテック(Microsoft、Google、Amazonだけでなく、NVIDIA、Open AI、Anthropicなど)と世界主要大国(米、ロ、中、印)が一斉に投資をシフトさせている分野、「激増するAIの電力エネルギーの確保(発電量・送電網・燃料網)」です。
AI電力需要は家庭や工業用の電力量の倍以上が予測され、24時間365日止まらないAI電力を(レイテンシー・ゼロで)確保して初めて「AI競争力」と定義されます(天候に左右される気まぐれな再生可能エネルギーは論外)。その安定AIの上に、今後の経済・マーケティングが成立します。
たとえばSMR(原子力小型モジュール炉)への投資は、すでに上記の全企業が大型投資をしているだけでなく、上場企業も登場させています。FIFA W杯 2026の最大スポンサーは、サウジアラビアのAramcoというエネルギー企業です。イーロンマスク氏のSpace Xが「火星」を目指すのは、宇宙通信の側面だけでなく、宇宙からの安定的な電力確保と述べています(マスク氏のXの投稿)。今、手元でブームの生成AIのLLM(言語)レベルの使いこなしはアプリの表層部分であり、深層部分の理解(先読み)がリスキリングの対象になります。
日本でも、(知られざる)先回りしている企業はすでに見受けられます。日々の目の前のマーケティング業務の先に、経済ゲーム軸・基盤を完全に入れ替える準備として、2026年を見ていきましょう。




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