米田恵美子琉 市場創造の「すすめ方」 #04

P&Gも実践する「Connecting The Dots」イノベーションを起こすための“新しい”つながり方【米田恵美子】

新説を見逃さないために必要なこと

 ロシアのネットニュースから考察される、意味あるインサイトを探る際の2つ目の問題として、点と点との間に新たなつながりを見つけた(仮説が立った!)と思われた時に、当事者に確認をとらず、独りよがりで収束してしまったことが挙げられます。

 意味あるインサイトを探る目的は、実際にターゲットとした人たちの潜在意識に響き、新たな購買行動や消費行動などに誘引することにあるので、仮説が当事者の心に本当に響くのか否かをチェックするのは不可欠です。

 ネットニュースに流す前に、近くの日本人何人かに「この仮説はどう思う?」と聞いていたら、ほとんどの日本人は「うーん・・・ちょっと違うと思う」と言って、別の仮説や可能性を教えてくれたかもしれません。

 最後に、データ収集をする時も、新しい概念の仮説を立てる時も、ターゲットに対して仮説検証をする時も、常に絶対に気をつけなければならないことは、自分の色眼鏡を外して、バイアスをかけずに判断するということです。「自分が思い込んでいる概念を外さなければ新しい発見はないのだ」「自分がまだ知らない新しい概念については、自分は全く何も分かっていないのだ」という謙虚な気持ちで、できるだけ思い込みを外そうという意識が重要なのです。



 「多分こうなんだと思う」「これが答えだ」「そんなはずはない」「こんなデータは信じられない」など思い込みが強いと、素晴らしいデータや新説をいとも簡単に見逃してしまいます。主張が強く、人の話を聞けないタイプの人は、特に注意が必要です。イノベーションを起こすには、新しい概念が必要です。そして、新しい概念に行きつくには、「新しい」ものの見方や考え方を取り込む必要があり、自分と違うものの見方や考え方を真剣に傾聴して理解しようとすることが不可欠です。

 「Connecting The Dots」。自分が“これはこういうもんだ”的な「べき論」でずっと思い込んでいるものごとの因果関係や相関関係をくつがえすような、全く新しい点と点の結びつきを見つけられた時、リミッターが外れて、大きなイノベーションを起こせるのだと思います。
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P&Gイノベーションファクトリーが最重視する「客観的多様性」【米田恵美子】
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