トップマーケターが語る2019年の展望 #01

トップマーケターが語る2019年の展望①【奥谷孝司、石川森生、緒方恵、長田新子】

まもなく「平成」が終わります。この30年でインターネットが普及し、メディアの構造が変化、消費者の情報発信力も高まり、企業のマーケティング活動は大きく変わりました。2019年は、どのような年になるのでしょうか。トップマーケター12人に「2019年の展望」を聞きました(全3回)。

モバイルペイメントが日本に定着するか

奥谷 孝司 氏
オイシックス・ラ・大地 執行役員 /顧客時間 共同CEO 取締役

 2019年はモバイルペイメントが日本にきちんと定着するかを決める重要な1年になると思う。PayPayのキャンペーンは素晴らしいが、一方で値引きをフックにしたお祭りにすぎない。ここから本当にモバイルペイメントが定着化できるようにするプレイヤーは誰なのか、キャンペーン合戦による体力消耗をどの程度ヘッジして、戦い、勝ち抜ける企業が出てくるのか楽しみにしている。本格的に定着が進む2020年あたりに展望をどう描くかが小売業にも求められる。
 

フィジカルな体験が重要視される流れが継続

石川 森生 氏
ディノス・セシール
CECO

 引き続きデジタル・テクノロジーに傾倒しすぎたマーケティングトレンドが揺り戻しを起こし、よりフィジカルな体験が重要視される流れが継続する年。これまでのオンラインとオフラインの”同質化”を目指す施策ではなく、テクノロジーを「活用して」リアルな顧客価値をどのように「演出する」のかが焦点となる。CXの中にデジタルならではの機能性・利便性を持ち込み、既存のアセットを次の段階にアップデートできたプレイヤーが生き残る。この意識下で、WEB広告の持つべき意義・姿勢・インターフェースについての議論がより進み、本来アドテクノロジーが持つ優位性が帰着する先が見えてくるのではないか。
 

流れて行くものに惑わされるな

緒方 恵 氏
中川政七商店
取締役

 流れて行くものに惑わされるな。最新のテクノロジーが最高のサービスであることは、ほぼ無い。顧客が求めるものに応えることだけを考えて、自分たちで適切な道のりと道具と組織と目標を設定し、それに突き進め。そして、一歩ずつ壁を乗り越える自分たちに誇りも持て。ただし、自分たちは何も知らない、何もわかってない、何もできていないことも常に噛みしめろ。自己肯定と現状否定を併せ飲みながら進むことが自己成長と組織一体を助け、顧客に価値を届ける最短の登山道を歩むことに繋がる。
 

日本全体での馬力と焦りが集約する一年

長田 新子 氏
渋谷未来デザイン
事務局次長兼プロジェクトデザイナー

 2020年に向けた残り一年という年となり、日本全体での馬力と焦りが集約する一年になりそうだ。自分自身は仕事柄、地域社会や街にいる人々がどうなったらいいかを考えることが多いが、企業もこれから進める計画や行動が本当に企業の利益のみならず社会に対してどう貢献できるのか、次世代にどんな影響を与えるかを考えるべきだと思っている。SDGsを単なる社会貢献という軸ではなく、将来の会社や組織の姿も重ね合わせることをやってみる。誰かのためにやることより自分のこうしたいと言った個人的な思いや妄想と社会的な節点を見つけてみる。大企業にとってはチャレンジだと思うが、意思決定と社会実験・実装をスピード感を持ち、スモールスタートで物事を進めることがどれだけできるかがキーだと思っている。

※「2019年の展望②【音部大輔、鈴木康弘、富永朋信、世耕石弘】」に続く
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トップマーケターが語る2019年の展望②【音部大輔、鈴木康弘、世耕石弘、富永朋信】

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