トップマーケターが語る2019年の展望 #03
トップマーケターが語る2019年の展望③【友澤大輔、西井敏恭、本田哲也、山口有希子】
2019/01/08
まもなく「平成」が終わります。この30年でインターネットが普及し、メディアの構造が変化、消費者の情報発信力も高まり、企業のマーケティング活動は大きく変わりました。2019年は、どのような年になるのでしょうか。トップマーケター12人に「2019年の展望」を聞きました(第3回)。
様々な業務のデジタル変革が本格的に起こる
友澤 大輔 氏
パーソルホールディングス
エグゼクティブデータストラテジスト
パーソルホールディングス
エグゼクティブデータストラテジスト
広告における「デジタル」施策ということが当たり前化しつつあるように見えて、まだまだ本格的なデジタル変革ができないでいる現状の中、ここ数年で本格的に様々な業務のデジタル変革が起こってくると思う。ソーシャルやデジタルというテクノロジードリブンから、本当の意味でのユーザー体験やマーケター体験の再設計が求められる。特に広告運用を広告主自らどこまで踏み込んでいくかは非常に大きな論点になると思う。
サブスクリプションやD2Cなどの新規参入に期待
西井 敏恭 氏
オイシックス・ラ・大地
執行役員CMT
オイシックス・ラ・大地
執行役員CMT
様々な領域でサブスクリプションサービスやD2Cなどに新規での参入が期待される。失敗する企業もたくさん出てくると思うが、既存事業からあっという間にシェアを奪うことのできるサービスや商品が出てくる可能性がある。テクノロジー面では、キャッシュレス化が注目されたことでユーザーにも少しずつ浸透してくると思うが、あくまで支払い方法は手段なので、キャッシュレスの先にある今までにないユーザー体験を提供するサービスに注目している。
「PR発想」で全体戦略を組み立てることへの理解が大事
本田 哲也 氏
ブルーカレント・ジャパン
代表取締役社長
ブルーカレント・ジャパン
代表取締役社長
マーケティングにおけるPRの重要性は、もはや共通認識。しかしながら「PR」と言っても、その理解と認識はまだまだマーケターによってバラバラである。2019年には、「PR発想」で全体戦略を組み立てることと、「PR活動(パブリシティ活動)」を実行することはまったく別物であるという考え方が大事になると思う。PESOの戦術を組み立てる前に考えるべきことが消費者の「パーセプションフロー」であり、そのパーセプションを変えるために必要となるのがマーケティングアイデアだとすれば、その段階で確実に求められるのがPR発想になる。これを理解するマーケッターが、真の意味でPRを組み込んだマーケティングの実行者になれるだろう。
重要なのは「信頼(TRUST)」を築くこと
山口 有希子 氏
パナソニック
常務 エンタープライズマーケティング本部長
パナソニック
常務 エンタープライズマーケティング本部長
マーケティング業界でも AI利用も含めた”MarTech”と言われるテクノロジー利用が加速されていく中で、手法はより進化し、Data、Digital Communicationもより精緻化し、多様化する消費者ニーズに合わせたPersonalizationが実践されていくと思います。より消費者のニーズに即した活動ができ、また、マーケティング活動についても、テクノロジー利用で効率的・生産的になっていくのは素晴らしいし、ぜひ活用していくべきだと思っています。ただ、テクノロジーの進化に伴い、それを悪用した広告詐欺(アドフラウド)やブランドリスクのある広告掲載、ビューアビィティに関わる認識の違いなどの問題も顕在化しています。マーケターは、そういう社外の状況をしっかり理解して、自社のマーケティング活動が健全で効果的であるためのアクションを実践することが重要だと思います。 企業のマーケターとして、改めて本質的なBrand Purposeを実践するマーケティング活動を全員が意識する必要があると思います。そして、消費者がPowerを持つ時代において、重要なのは「信頼(TRUST)」を築くことができるかだと考えます。Customer Engagementを目的に、あらゆるマーケティング活動を実践していきたいと思います。