自由の毒味 #06
新年号・令和の時代、人は何を目的に働くのだろうか【加来 幸樹】
自分を主語に様々な取捨選択をする時代
新元号「令和」への改元も目前に迫り、改めて時代の変化が叫ばれる昨今、今回の連載「自由の毒味」で着目したい変化は、企業などで“人が働く理由”についてです。
新時代に「人」は何のために働くようになっていくのか。そのとき企業やコミュニティにどのようなスタンスが求められるのかを考えてみたいと思います。
連載第3回の中でも、所属する会社ではなく「自分自身」のビジョン・ミッションをベースに、様々な仕事や活動を組み合わせながら自己実現を目指す働き方「副業3.0」について紹介しました。副業や兼業、プロボノなどを活用し、これまで以上に自由な働き方が一般的になりつつあります。
また、これはサラリーマンだけに言えることではありません。例えば私の場合も、もちろんサインコサインの経営・事業活動が大半ではありますが、それ以外にもコアメンバーとして参画している一般社団法人や他のコミュニティ、勉強のためにもインプット中心で参加している西野亮廣さんや中田敦彦さんのオンラインサロン、さらに会社とは切り分けて事業を検証するための個人事業主としての活動など、様々な立ち位置での活動を選択することで「加来幸樹」という個人を形成しています。
このように個人を主語に、様々な所属や活動を取捨選択する人が増える時代に、人材を必要とする企業などが考えなくてはいけないことは何か?これまでの時代では、いかに良い人材の全てのリソースを自社に注いでもらうかが問われていましたが、これからは良い人材ほど100%のコミットは難しくなるでしょう。
むしろ一社だけに100%コミットしているようでは成長しにくくなる、ということも言えるかもしれません。となると、企業に求められるスタンスは、そういった優秀な人材に1%でも多く自社にリソースを傾斜してもらうことです。
求めるパートナーに選択されるために必要なこと
そして、ここで言うリソースの傾斜とは、「物理的な拘束時間」のことだけを指しているわけではありません。
心理的にも、例えば、社外のパートナーの場合、あなた(の会社)へどれだけ意識を傾斜してもらえるかが、その仕事を引き受けてもらえるかが大きく変わってきます。
言うまでもなく、課題解決の難易度が高まり、優秀なリソースの奪い合いも激化する中で、彼らの仕事の選択の基準はお金だけではなくなってきているということです。では、どうすれば相応しいタイミングで相応しいパートナーのリソースを得ることができるのか?
そのために必要なことは大きく2つ。1つは「彼らが共感する理念・信念を掲げること」。もう1つは、その理念・信念にも基づき「彼らに有益な資源を提供すること」です。