自由の毒味 #06
新年号・令和の時代、人は何を目的に働くのだろうか【加来 幸樹】
サインコサインで毒味していること
これまでの連載でもお伝えしてきましたが、私の経営しているサインコサインでは「自分の言葉で語るとき、人はいい声で話す。」という信念のもとで、社員だけでなく多様な関わり方のチームメンバーとコミュニティを形成し、様々なアウトプットや関係性を全員で共創しています。
つまり、高く多様なスキルを持つメンバーにリソースを傾斜してもらうことはもちろん、クライアント企業やその発注担当者にも信念を理解してもらい共に仕事をする価値を感じてもらうことが非常に重要になります。
「ヒト・モノ・カネ」の視点で言うと、十分に魅力的な報酬や納得感のある値付け(カネ)を提供できるように事業を運営し続けることは言うまでもありませんが、前述の信念に基づき「ヒト・モノ」にメリットを感じてもらうための取り組みの1つが以前の記事「話題のコワーキングスペース「WeWork」に入居したら、何が起きたのか」でも書いたシェアオフィス/コワーキングスペース・WeWorkの活用です。
WeWorkのワークスペースを活用したサインコサインのメンバー間ならびにWeWorkコミュニティメンバーとの交流は有益な「ヒト」同士が出会える機会になりますし、必要に応じて会議室やイベントスペースといったファシリティ(=モノ)をメンバーとシェアすることもあります。
さらに、サインコサインの場合、セプテーニグループに所属していることも、共に仕事をする有益な価値になると考えています。ネットマーケティングやメディアコンテンツ関連の事業を営む20を超えるグループ会社、そこで働く千数百名の従業員の存在や彼らが培い蓄積されてきた知見やノウハウ、西新宿の東京本社をはじめとした国内外の事業拠点、そういった「ヒト・モノ」にいつでも自由にアクセスすることができるのは社内ベンチャーのメリットでもあると考えています。ですので、事業の運営においては(実験的な取り組みなども含めて)これらの資源を積極的に活用するようにしています。
人間が活きる舞台をつくる
このように、これからの時代において「人が働く理由」は、欠乏の欲求を満たすことや目の前のお金を稼ぐためだけだったりではなく、成長や自己実現のためになっていくのです。
だからこそ共感される大義ある理念・信念を掲げ、それに基づく有益な資源(ヒト・モノ・カネ)を提供し続けることで、物理的・心理的なリソースを少しでも傾斜してもらうことが重要になっていきます。
もちろんマインド面でもシステム面でも様々な変革が求められるため決して簡単なことではありません。しかし、様々な人間の仕事をAIや機械が代替していく中で「人が働く理由」が変化するのは必然の流れで、それにどうやって対応するか?という問いは「令和」の時代に企業やコミュニティを経営・主宰する人が避けることのできないテーマです。
これからの未来においても「人間」が活きる舞台をみんなで試行錯誤していきましょう!
それではまた次回、違った視点からの「毒味」をお待ちくださいませ。
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