ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #30

なぜM&Aした企業を成長させられるのか。じげん平尾丈社長が語る「コクピット型マネジメント術の極意」

プラットフォームとしての今後の「野望」


田岡  3年後や5年後、じげんは、どのくらいの規模を目指しているのですか。

平尾  時期は明言しておりませんが、営業利益100億円を目標にしています。

田岡  M&Aだけではなく、新規事業の立ち上げもまだまだあるのでしょうか。

平尾  はい、あります。毎年、新規事業の立ち上げや新しいアライアンスを意識しています。昨年はNTTドコモと「dジョブ」を立ち上げましたし、M&AしたBtoBの旅行会社の中にBtoC事業として「Travery(トラベリー)」を立ち上げました。  

田岡  最終的な平尾さんの野望は、何ですか。

平尾  じげんを「総合ライフプラットフォームカンパニー」として、生活者のチャンスが広がるようなプラットフォームにしたいですね。まだ、日本のネット企業には、そう呼べるところがないと思います。

当社のサービスを通して、誰もがより多くの選択肢から最良の意思決定を行える機会を創出し、世の中の情報格差をなくしていきたいと考えています。
 
田岡氏 対談を終えて
 じげんとそのグループ会社のWebサイトからサービス数を数えると、合計で約30もあります。そのサービス群から売上130億円で利益率は、なんと約30%の高利益グループ企業をつくり上げています。

 ひとつのサービスの平均売上は4億円強。デジタルサービスでかつ同じビジネスモデルと同じノウハウを有しているサービス群だからこそ実現している高利益率であり、そのノウハウが活きる領域での積極的なM&Aも可能にしている、新しい事業群経営スタイルだと思います。

 同じような領域でのリクルートグループの国内売上は、IR資料によると7000億円前後あり、ニッチでも十分な大きな売上とデジタルサービスがゆえの高利益率を実現しています。

 その中心となっているのは、平尾さんの数字に対するセンスとロジックです。一日掛けてそれだけの数のサービスの事業報告を聞き、その場で突っ込みアドバイスを行います。そして、それを全サービス責任者が聞き、共有して知見とする、これは平尾さんがいるからこそ実現できる経営エコシステムだと思いました。

 デジタル時代になったことにより個人の能力が拡張され、それを体現しているのが平尾さんの経営スタイルだと思います。
 

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