ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #33

「北欧、暮らしの道具店」の採用基準は、自分と世界に期待ができている人かどうか

前回の記事:
巨大プラットフォーマーに依存しないために、「北欧、暮らしの道具店」が見いだした唯一の道
 インテリア雑貨のオンライン販売にとどまらず、広告事業や映画など、事業領域を広げる「北欧、暮らしの道具店」の運営元であるクラシコム 代表取締役の青木耕平氏。ビジネス戦略に迫った第一回と第二回に続いて、第三回ではクラシコムの採用活動で重視しているポイントについて聞いた。
 

人材採用における基準、シニカルではないか


田岡 現在、「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコムの社員は何人くらいでしょうか。

青木 60人ほどでしょうか。

田岡 採用も強化していらっしゃいますが、面接では何を見てらっしゃるのですか。

青木 その人のパーソナリティや、ビジネスパーソンとしてのポテンシャルですね。それから、「自分と相手の両方を大事にしている人なのか」ということもポイントです。それらをエッセイを提出してもらったり、面接をしていったりする中でみています。
青木耕平氏
クラシコム 代表取締役

2006年、実妹である佐藤と株式会社クラシコム共同創業。2007年秋より北欧雑貨専門のECサイト「北欧、暮らしの道具店」を開業。「フィットする暮らし、つくろう。」というコンセプトのもと、北欧に限らず、世界各地、そして日本の、実用的でありつつ暮らしを彩るものを独自の視点でセレクトして販売している。現在は、EC事業のみならず、オリジナル商品の企画開発、WEBサイト上での日々の暮らしに関するコンテンツ配信や、企業とのタイアップ広告、リトルプレスの発行など多岐にわたるライフスタイル事業を展開中。

田岡 思考力やコミュニケーション力は、見られますか。

青木 そうですね。会話をしていればだいたい分かるので、面接で確かめるとしたら、シニカルさ(皮肉・冷笑的である様子)じゃないかでしょうか。

例えば、自分が憧れている対象があったとき、対象に向かって自分を引き上げて近づこうとする人と、対象を引き下げて近づけようとする人がいます。

シニカルな人は、対象を引き下げることによって安心するという選択をするので、我々としては、そうではなく素直に高い山を目指して一緒に登ってくれる人と仕事をしたいと思っています。

田岡 シニカルは、自分に期待していないということですよね。
田岡敬氏
エトヴォス 取締役 COO(最高執行責任者)

リクルート、ポケモン 法務部長(Pokemon USA, Inc. SVP)、マッキンゼー、ナチュラルローソン 執行役員、IMJ 常務執行役員、JIMOS(化粧品通販会社)代表取締役社長を経て、ニトリホールディングス 上席執行役員。2019年1月21日より、エトヴォス 取締役 COO。

青木 はい。自分だけでなく、世界にも期待していません。チームで働くのには重要なジャッジポイントではないかと思います。

田岡 そうですよね。最後まで自分に期待してくれるのは自分しかいません。だから、私は「人に期待されることでモチベーションを上げたり、下げたりするのはやめよう。自分で自分に期待しようよ」という話をします。

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