ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #36

「君は何者にもなれないよ」とあおることも。起業には100%の思い込みが大事

反骨精神がなければ、新規事業の成功はない


田岡 冒頭で、病気をきっかけに仕事を社員に任せるようになったと話されていましたが、今も任せる経営スタイルなのですか。

佐藤 そうですね。立ち上げるときは介入しますが、あとは任せています。若い人に活躍してもらい、自分にしかできないことで成功する経験を積んでもらいたいと考えているんです。逆に言えば、若い人としか基本付き合わないです。

田岡 若い人のどのような点が良いのですか。

佐藤 考えずに動くので、一歩目が早いですよね。年を取ると、知識や経験が邪魔をして過去の失敗事例を持ち出して話をしがちです。そんな考え方では、すでにヤフオクやMyspaceが存在していた世界に、メルカリやFacebookを生みだすことはできません。過去の事例を気にせず、自分が100%良いと思ったことに対して動けるのは、若さの特権だと思います。もちろん若くなくてもそういう動き方する魅力的な方はいますけどね。



田岡 なるほど、立ち上げ時に介入するとのことですが、佐藤さんはどういった役回りを担われるのですか。

佐藤 とにかくその人の気持ちを100%にしようとしている気がします。そのために、とにかくあおって反骨精神を刺激するんです。

田岡 どのようにあおるのですか。

佐藤 とにかくリスクとリターンのバランスの話をします。リスクを取っていない人間には「君は何者にもなれないよ」と言ったりします。あとは、その人が敵対している人とわざと仲良くしてみせたり(笑)。

田岡 恋愛みたいですね。



佐藤 でも、感情を動かさないといけないので、そういう行動が重要なんです。その分、結果を出したときは、死ぬほど褒めます。なので、周りの人からは「佐藤さんは結果を出すと、分かりやすく態度を変えますよね」と言われます。

田岡 それも大事なことですよね。

佐藤 はい、成功体験を積んでほしいと思っているんです。僕が最初はバリュークリックでみんなに嫌われていたけれど、結果を出したら手のひらを返されたのと同じように、社会とはそういうものですからね。
続きの記事:
BtoB企業におけるCMOの役割は、インナーコミュニケーションにある【トランスコスモス 佐藤俊介】
他の連載記事:
ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 の記事一覧

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録