ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #01
リクルート、MTVを経て、Twitter日本法人代表へ。笹本裕氏のキャリア論【聞き手:ニトリ田岡敬氏】
Twitterでの4年間、確実かつ大胆に成長させる
田岡:Twitterにはなぜ転職されたのですか。
笹本:私はマイクロソフトの次に、クラウドファンディング事業の会社を立ち上げました。クラウドファンディングは、似た興味関心を持つ方々がつながると成功しやすいという特徴を持ったサービスです。そこから、興味関心で人をつなぐソーシャルメディアに関わりたいと思うようになったのです。
田岡:転職された当時、Twitterにはどのような課題がありましたか。
笹本:認知度はある程度、高かったものの、収益化という面では黎明期でした。初めて数字を目にしたときは、驚いたことを思い出します(笑)。
ただ同時に、メディアを取り巻く風景が変わっていく中で、もしかしたら私の理想に近い新たなメディアが実現できるという可能性も感じていました。
田岡:インターネット(リクルート)、ブロードバンド(マイクロソフト)、ソーシャル(Twitter)と、笹本さんはメディアの王道を歩んでいるように思います。やるからには時代をつくるような大きなことを、というビジョンをお持ちなのですね。
笹本:それは、あります。スタート当初は、大きなビジネスである必要はないのですが、成長の余地は考えます。どちらかと言えば、火中の栗を拾うのが好きなタイプなんです。MTVだけでなく、マイクロソフトでも、うまくいっていなかったオンライン事業の再構築を求められていました。
田岡:大変なのが、お好きなんですね(笑)。
笹本:やめよう、やめようと思いながらも、結局、栗を拾いに行ってしまうんです。ただ、自分の存在意義を感じるのは、そういう苦しいとき。私にとっては、周囲から求められ、自分もそこで貢献できるという感覚がとても大切です。それが得てして、火中の栗を拾うということだったんですよね。それにたいへんな環境の方が、新しいことに取り組みやすいですし。
私がTwitterの社長になってから現在までの4年間は、良くも悪くも大きく変化していた期間。ジャック・ドーシーが再びCEOになったほか、組織の大変革、2回の大きなリストラがありました。その中で日本は、さまざまな議論を重ねて改革を行い、堅調に成長できました。
その成長の過程で、さまざまな投資をしてもらったり、組織のあり方を尊重してもらったりしてきました。現在は本社に単独でレポートしているのですが、以前はアジアの中の日本でした。そういう組織改革含めて、いろいろな議論を重ねて今に至ります。
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