ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #38

FABRIC TOKYO 森社長がメルカリで学んだ、ユーザーインタビューの大切さ

前回の記事:
BtoB企業におけるCMOの役割は、インナーコミュニケーションにある【トランスコスモス 佐藤俊介】
 エトヴォス 取締役COO田岡敬氏が第一線で活躍するビジネスパーソンから、その人がキャリアを切り開いてきた背景やイノベーションを生み出してきた思考法を探っていく連載。第17回は、FABRIC TOKYO 代表取締役の森雄一郎氏が登場する。

 オーダーメイドスーツなどをD2C(Direct to Consumer)ブランドとして提供するFABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ)。店舗でサイズを測定した後に、スマートフォンからスーツを注文できるというユニークなビジネスモデルで成長し、16店舗を展開(10月9日現在)。5月には丸井グループと資本提携し、さらに9月下旬には新しいリテール像を打ち出した事業構想を発表し、次代のD2Cモデルを切り拓くのではないかと注目を集めている。不動産ベンチャーやメルカリを経て、同社を起業した森氏にこれまでの道のりや、D2C企業に求められる組織づくりに対する考え方に迫った。
 

ファッションが好き過ぎて、カール・ラガーフェルドに突撃取材


田岡 森さんは、スマートフォンから注文できるオーダーメイドスーツというビジネスを手がけています。もともとファッションに興味があったのですか。

森 はい、昔から大好きでした。

田岡 何かきっかけがあったのでしょうか。
森雄一郎
FABRIC TOKYO 代表取締役CEO
1986年生まれ岡山県出身。大学卒業後、ファッションイベントプロデュース会社「ドラムカン」にてファッションショー、イベント企画・プロデュースに従事。その後、ベンチャー業界へ転向し、不動産ベンチャー「ソーシャルアパートメント」創業期に参画したほか、フリマアプリ「メルカリ」の立ち上げを経て、2014年2月、カスタムオーダーのビジネスウェアブランド「FABRIC TOKYO(旧・LaFabric)」をリリース。”Fit Your Life”をコンセプトに、顧客一人一人の体型に合う1着だけではなく、一人一人のライフスタイルに合う1着の提供に挑戦中。

森 私は岡山県の田んぼのど真ん中に家がポツンと立っているような田舎で育ったということもあって、もともとファッションとは無縁でした。そんな中学生だったある日、母親が犬の散歩中に道ばたでファッション誌を拾って家に持って帰ってきたんです。それを読んで「こんなカッコいい世界があるんだ」と衝撃を受けました。

それ以来、ずっとファッションが大好きで大学生の頃にはファッション専門のWebメディアを立ち上げました。香川県の大学に行っていたので、夜行バスに乗って月に何度も東京に来ていましたね。

田岡 自分でWebメディアを立ち上げてしまうほど、熱を上げていたんですね。

森 はい、ファッションが好き過ぎて、パリ・コレクションやニューヨーク・コレクションにも取材に行っていました。そもそも招待状がないと会場には入れないのですが、裏口から突撃してシャネルのクリエイティブディレクターとして有名なカール・ラガーフェルドにインタビューして2人で写真を撮ったこともあります。その他にもファッションショーにも裏口から侵入して、出禁になったことも(笑)。

田岡 すごい行動力ですね。ちなみに大学卒業後は、何をされたのですか。
田岡敬氏
エトヴォス 取締役 COO(最高執行責任者)
リクルート、ポケモン 法務部長(Pokemon USA, Inc. SVP)、マッキンゼー、ナチュラルローソン 執行役員、IMJ 常務執行役員、JIMOS(化粧品通販会社)代表取締役社長を経て、ニトリホールディングス 上席執行役員。2019年1月21日より、エトヴォス 取締役 COO。

森 ファッションショーを演出する会社でアシスタントとして働き始めました。そこも飛び込みで門を叩いて、「無給でいいから働かせてくれ」と言ったんです。

田岡 また飛び込みですね(笑)。

森 何でも屋として裏方で2年弱ほど働きました。メディアを運営していたときはファッション業界の表面しか見えませんでしたが、実際に中に入ることで業界の構造的な課題や働いている人の思いなどを知ることができました。

当時、私は独立志向が強くてやる気満々の意識高い系だったのですが(笑)、業界全体としては年功序列で上が詰まっていてポストが空かないので、若者にチャンスが与えられません。

さらに、私はデジタル人間で中学生の頃からWebサイトをつくっていたのですが、ファッション業界はデジタルが嫌いな人が多くてアナログな面にも辟易していたんです。このままだとチャンスがないなと思って、ITベンチャーに入社することにしました。

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