ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #39

FABRIC TOKYOの成長と失敗。オーダメイドスーツのD2Cは、なぜ成功したのか

組織間のチームビルディング推進、カルチャーを言語化


田岡 FABRIC TOKYOのカルチャーは、言語化されているのですか。

森 はい、“ビジョンドリブン”という言葉を使っているのですが、常にビジョンから考えるというカルチャーがあります。未来の姿を描いてから逆算で何をするかを考えるということで、2016年から目標管理にOKR(Objectives and Key Results)を取り入れて、3カ月に1回の面談であるべき姿を問いながら、何に取り組むかを考えるように徹底しています。

それから、小売業界はクローズドな組織が多いのですが、IT企業らしくオープンなカルチャーをつくるように意識しています。情報の透明性を高めれば、それぞれの組織が情報を主体的に取りにいけて、自分たちでアイデアを出して実行できます。D2C企業はバリューチェーンが長く、経営陣が何人いても見きれないので、自主的に行動できる組織をつくることが重要だと考えているんです。

ほかにも、経営課題をオープンに提示して、社員が自ら手を挙げて部署横断で取り組む機会を設けています。そうすることで、成長を求めている社員には機会をどんどん与えるとともに、社員全員に自分たちで良い会社をつくり上げるという意識を持ってほしいと考えています。また、私にとっても普段は一緒に仕事をする機会の少ないメンバーと働く機会になるので、ネクストリーダーとなる社員の存在に気付くことができます。



田岡 いいですね。ところで、FABRIC TOKYOは、どのような採用基準を設けているのですか。

森 基準は3つあります。ひとつ目はさきほどお話した「ビジョンドリブン」です。2つ目は、「Always Why, Always Run」。常になぜを問い、そこから出てきたアイデアをきちんと実行に移そうという意味です。3つ目は「All for One」で、一つの事業をみんなで成功させようということです。この3つをさらに3つずつ分解して、合計9項目で点数化しています。

田岡 それで採用のミスマッチはなくなりましたか。

森 そうですね。基準の徹底に約2年ほどかかりましたが、ほぼなくなったと思います。

 
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