ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #51

吉野家 伊東正明氏が明かす、ヒット商品を生み出す「アイデア開発とフレームワーク」

 

吉野家の「未来の店舗」を考える


田岡
 伊東さんのお話を伺っていると、いわゆる広告領域だけじゃなくて、メニュー開発や店舗オペレーションまで関わっていらっしゃると思うのですが、どういう優先順位でご自身の時間をマネジメントしていらっしゃるんですか。

伊東 一番時間を掛けているのは、売上と利益をつくることなので、全体戦略と商品企画ですね。もちろん店舗のオペレーションは企画のときにも考えますが、実行には関わっていません。



田岡 与件に入れておくということですか。

伊東 はい、それこそ「店舗の負荷を下げる」、あるいは「再現性を高めること」への研究は、私自身の中でもある程度のウェイトをもって考えています。省力化に向けた機械や画像認識技術の導入も実験を進めています。

田岡 伊東さんも「CES」(毎年1月に開催される、世界最大規模のコンシュマーテクノロジーに関するカンファレンス)に行く日が来ますね。

伊東
 はい。今年は行きたかったのですが、「行こう」と思ったタイミングは、すでにスケジュールが埋まっていてダメだったんです。来年こそは行きたいと思っています。

田岡 では、伊東さんは吉野家の「未来のデジタル店舗」について考えていらっしゃるわけですね。

伊東 はい、そこはプロパーではなく、外からきた私が担うべき領域だと思っています。意味があるテクノロジーを発見して、それを吉野家に入れていきたいですね。

田岡氏 対談を終えて

P&G出身のマーケターの方のお話は、インスパイアされることが非常に多いですが、再現性という観点では伊東さんのお話が我われ凡人にとって一番実践的だと思います。再現性というのは、対象の業界や業態が変わっても通じるものでもあり、伊東さん以外の人がそのフレームワークを応用できるということです。アイデアが出る出ないは、残念ながら最後は得てして説明が不可能な領域ですが、どこにアンテナを立てるか、アイデアを考えるスコープをどう切るかには再現性があります。インパクトの大きい領域にフォーカスして考えられるようになるだけでも、アイデア創出のROIは飛躍的に高まります。


 
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