マーケターズ・ロード 紺野俊介 #03

入社直後に武器になったのは、IT知識と体系化するノウハウ【前・アイレップ社長 紺野俊介】

経験・ノウハウの「仕組み化」で、アイレップ成長の基盤を構築

 入社2年目を迎えた2004年頃は、ダイレクトレスポンス系企業がリスティング広告の可能性を見出し、大きな予算を投下し始めるタイミングでした。まさにサイバーエージェントやオプト、セプテーニといったインターネット専業広告会社との競争が始まったタイミングです。

 当時、大きなコンペに参加したとき、クライアントから言われた言葉が、マーケターとしての私の原点のひとつになっています。

 「もしアイレップと契約するなら、紺野くんを含めたトップチームが担当することが必須です。それだけのコミットをしてくれますか」

 クライアントは、「何を」やるかはもちろんのこと、「誰と」やるかを重視していたのです。この企業は、リスティング広告の出稿額が月額数億円と、当時のリスティング広告出稿額で国内上位に入る企業でした。



 管理するキーワード数はスタート時で数万件、最終的には数100万件にのぼります。にもかかわらず、システムが構築されていなかったため、Excel管理です。アップロードはアナログ、入札は手入力。まさに24時間365日体制で管理画面と向き合い、広告効果を最大化すべく運用しました。

 6つあったメインキーワードは、夜中であろうと週末であろうと関係なく、1時間に1回は必ずログインしてチェックしていました。競合企業の担当代理店、さらにその担当者の動きから、「金曜日22時の入札を最後に月曜日まで入札しない」「週末に1回入札する」といったクセを分析し、それを踏まえた運用に心血を注いでいました。

 いま考えると、セキュリティポリシー上の問題がありそうですし、「働き方改革」と相反する仕事の仕方ですが(笑)。

 そうした中でも私が重視したのは、検索連動型広告の運用ノウハウを体系的にまとめ、仕組み化することです。その集大成として2006年に出版した書籍『検索連動型広告を成功に導くSEM戦略 費用対効果を最大化する魔法のキーワードの見つけ方』は、当時の多くのインターネット広告会社に教科書のように使ってもらえました。

 クライアントの広告効果の最大化に取り組んだ経験を属人的なものとせず、システム化・仕組み化して共有する。そうすることで、大規模のクライアントに対し、アイレップとして常に高いレベルの品質を提供できるようになりました。

 また、多少なりとも、インターネット広告の発展に寄与できたのではないかと思っています。
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