マーケターズ・ロード 紺野俊介 #05

私のインターネット広告業界の2人のボス(高山雅行、矢嶋弘毅)について【前・アイレップ社長 紺野俊介】

前回の記事:
社長に直談判して取締役に就任、博報堂DYメディアパートナーズとの提携へ【前・アイレップ社長 紺野俊介】

創業者の高山さんから教わったこと

 高山さんとの当初の約束通り、上場後の2007年に専務取締役に就任。その2年後、事業推進に一定の方向性が見えたタイミングで、高山さんから社長交代の話をもらいました。

 まず、私が代表権を持たない取締役社長COOとなり、ダブル代表体制の代表取締役社長COOを経て、代表取締役CEOに。それに伴って高山さんは代表権のない会長に就き、その後、会長からも外れるというプロセスを経て、社長を引き継ぎました。

 私には、インターネット広告業界に2人のボスがいます。

 そのひとりが、高山さんです。高山さんは、どんな人かというと「石橋があったら、鉄にするまで渡らない人」(笑)。これは高山さんが私へのバトンタッチを決めた理由のひとつでもあると思いますが、その慎重さはインターネットという変化の大きな市場で戦っていく上で、ときとして“足かせ”になっていたかもしれません。



 高山さんには、経営者としての経験を持たない私を、経営者に引き上げてくれた恩も感じていますし、何よりも「目線を正しく上げる」ということを教わりました。

 経営者は、常に自分で自分の目線を上げていくものですが、経験がないと、そもそも目線の上げ方がわからないんです。単に高さを上げていくだけでは、売上・利益や成長を偏重するような、間違った方向に進んでしまう危険性があります。高山さんから、ガバナンス、コンプライアンスを含めた、経営者としての健全な目線の上げ方を教えていただきました。

 高山さん退任後は、最低限のコミュニケーションだけをとるようにしてきました。株式を保有している高山さんが、会社の意思決定に関わる情報に触れることは、場合によってはインサイダー取引ととられかねない、そう考えた高山さんの意思でもあります。真面目なボスなんです(笑)。

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