「マーケティング」という大海を、航海するための羅針盤 #07

ファンの価値は、どう計測できるのか【コミュニティマーケティングを成功に導く十カ条】

前回の記事:
DeNA 今西陽介流、コミュニティマーケティングを成功に導く十カ条
 

⑥目指すべき、「KPI」は何なのか?


 皆さんが大好きな「KPI」の話をしたいと思います。前回、「コミュニティマーケティング十カ条」のうち5番目までを紹介しましたが、そこではKPIよりもお客さまが求めていることを把握し、関係者を動かすビジョンが大切だという話をしました。
 
「コミュニティマーケティング十箇条」

一. お客さまが求めていること(現在・未来)は、何か?
二. プロジェクトのゴール、ビジョンは何か?
三. どういうお客さまをターゲットにしているのか?
四. 提供できる、自社のPOD(Point Of Difference)は何か?
五. 目標を達成する上で、バリアになることは何か?
六. 目指すべきKPIは何か?
七. 施策を実行する上での役割、体制、予算はどうするか?
八. 施策の良し悪し(悪い場合の撤退)判断軸はどうするか?
九. 立ち上げ時に、あなたのファンはいますか?
十. とりあえず、難しく考えずに楽しくやってみる。

 今回の6番目にして、初めてKPIの話が出てきます。KPI設定のポイントは、次の2点です。
 
1. 施策のBefore/Afterで比べること
2. 全ての数値は正確には取れないので、固執し過ぎないこと

 まずは、1について説明していきましょう。次のグラフは、とあるアプリサービスをイメージしています。


 
  • ユーザーを2つのグループに分けます。例えば、1000人×2グループとします。
  • ひとつ目のグループは「コミュニティ参加ユーザー」、2つ目のグループは「コミュニティ不参加ユーザー」とします。
  • 見るべき指標は、左の継続率(Return Rate)と、右のLTV(Life Time Value)です。
  • 1の「コミュニティ参加ユーザー」は、継続率・LTVともに20%程度の優位性があります。

 ただし、ここで必ず「鶏と卵問題」が起きます。今回で言うと、「指標が高くなりそうな人を選んでるだけではないのか」という、社内の賢い人からの声です。めんどくさいですよね(笑)。この場合は、スタート地点のユーザーのアクティビティやLTVが、同レベルの人を抽出することで回避できます。

 続いて指標として、何でも取ろうとしないことも大切だと思います。企業の売上や利益に結びつく指標を見極めて、取得すべき数値を関係者と決めることが大切です。定量の数値だけではなく、お客さまの声、すなわち定性的な意見を集めて理解することが大切なのです。

 前々回も書きましたが、定性的な声をきちんとプロダクトに反映させていくという企業姿勢が、お客さまをさらにファンにするという好循環を生みます。

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