"Go Funny" 迷ったら面白い方を選ぶ、外資経営者のキャリア論 #05
優秀な求職者が、採用面接で犯しがちな失敗とは?
仕事でしっかり実績を出してきた人であっても、全ての採用面接で合格することはありません。そこで今回は、優秀な求職者が「採用面接で犯しがちな失敗」についてお話します。
具体的な説明がなく、匿名案件のタスクのみを話す
最近、転職を検討している、コンサルティング会社出身の方の面談を行いました。コミュニケーション能力が高く、地頭もいい30代の男性です。大企業の事業部を強化する戦略立案、M&Aの買収先の選定、その実行を担当されてきました。
採用面接ではなく、彼の転職のお手伝いをするための面談でしたが、その中で彼について、いくつか気にかかる要素が浮かび上がってきました。
はじめに、これまでのキャリアについて語っていただくようお願いしたときのこと。彼は、「私の職務経歴書に仕事の実績、その詳細を記載しているので、それを読んでください」と言い、なかなか自分の言葉で話したがりませんでした。職務経歴書を読めば、そこに書いてある実績で、自分の優秀さと功績を読み取れるので、詳細に話す必要はないと思っていたようです。
しかしながら、職務経歴書に書いてあることは、ただの情報の記述でしかなく、初対面の面接官には、その内容が本当かどうか判断できません。
というのも、職務経歴書が“盛られて”いたり、ときに“嘘”が混じっていることがままあります。盛ってしまう求職者の心情も理解できますが、面接官はそうした職務経歴書に何度も遭遇しており、書類をそのまま鵜呑みにすることはないのです。
重要なので、もう一度言いますが、職務経歴書に書いてある内容は“情報の羅列”でしかありません。それが本当かどうかを判断するには、その事実をどのように達成したのか、どういう苦労をして、どういう工夫をしたのか、具体的なエピソードを聞く必要があります。
実際に、実績を残した方のほとんどは、その仕事に愛着を持っているので、エピソードをしっかりと披露してくれるものです。一方で、自分でしていない人は極力、具体的な話をしたがりません。細かい話をすることができないからです。
コンサルティングファーム、投資銀行などクライアントに対して高度な守秘義務を負っている方についても、NDA(秘密保持契約書)を理由に詳細な内容の説明を避ける傾向があります。しかし、そうした職種の人であっても、NDAに違反しない程度に、しっかりご自身の実績を詳細に話すことをお勧めします。
詳細を語れないのは、仕事が自分の一部になっていないから
「仕事」というのは、単にその業務を経験しただけでは十分ではありません。単純にその場にいるだけで自分のものになっていない仕事や経験は、同じようなシチュエーションに遭遇しても、上手く使えないケースが多いです。
そこで大事なのは、いかに自分の血や肉にできるか。そのためには、試行錯誤、失敗を繰り返し、どうやったら上手くいくかを体で覚える必要があります。試行錯誤も、失敗もしないで上手くいった仕事があったとすれば、それは簡単すぎるか、もしくは運が良かっただけでしょう。
本当に難しいミッションであれば、何度もとてつもなく硬い壁にぶち当たり、挫けそうな失敗を多くするはずですから。そういう意味では、テレビドラマ『ドクターX』の女医のように、まるで失敗したことがないかのように自分の仕事を語る人は、薄っぺらい仕事しかしてこなかったと自ら伝えているようなものです。
つまり、自分の仕事ぶりを説明するのに、単に結果だけを話しても十分ではないのです。どんな壁に当たって、その壁がどんなに頑強だったのか、どんな風に弾き返され、どんな痛手を負ったのか、そしてどんなふうにその壁を乗り越えたのか、そういった話を伝えることに意味があるのです。